「ドーハの歓喜」を味わう。22年カタールワールドカップ(W杯)のアジア最終予選で、黒星発進した日本代表は4日、MF南野拓実(26=リバプール)が故障で途中離脱すると発表した。チームは3日、カタール・ドーハ入り。同地で7日(日本時間8日)に中国と戦う。入国時には、新型コロナウイルスの検査が長引き、予定の練習を行えず。気温も40度を超える日々。相次ぐ逆境の中、W杯を経験するMF原口元気(30=ウニオン・ベルリン)、FW大迫勇也(31=神戸)らは強い覚悟を口にした。

前回大会に続き、アジア最終予選を黒星発進。屈辱を味わった日本に、追い打ちをかけるニュースが舞い込んだ。DF板倉、DF酒井に加え、南野が離脱。南野は8月31日の練習中に左太ももに違和感を覚え、1日に病院で受診。2日のオマーン戦には出場しなかった。19年9月10日のW杯2次予選初戦のミャンマー戦から出場した予選7試合連続得点中の背番号10が、中国戦にいない。

アウェーの洗礼も浴びた。日本はオマーン戦後、3日に大阪からドーハ入り。新型コロナウイルスの防疫対策で、午前の入国後に検査を受けたが、約10時間ホテルの自室で待機を余儀なくされた。予定した屋外の練習は行うことが出来ず。入国から約半日後の現地時間午後9時半過ぎ、ようやく全員の陰性が確認された。中国戦まで練習は1日減って、3日間となった。

気候も全く違う。日中の気温は40度を軽く超える。日本とは約20度も違う灼熱(しゃくねつ)の地。中国戦のキックオフは現地時間の午後6時。同時間帯でも、軽く35度を超える。逆境に立たされる中、選手の声は違った。

大迫は気候について「スタジアムにエアコンもついている。問題ない。相手も一緒」。何より「勝ち点3」と続けた。「言い訳は出来ない。追い込まれた状況は、最近なかなかなかったので、逆境に必ず勝てるようにしたい」。南野に代わって先発が予想される原口は「何年もサッカー界にいると、いろんなことが起きる」と入国後の対応も、意に介さず。「全てが詰まっているのがピッチ。それを示す使命があると思っているし、出来ると思っている」と力を込めた。

さらに酒井の代役として先発が期待されるDF室屋も「こういうこともあるだろうと映画見たり本読んだりしながら、うまく時間をつぶしていた」。チーム最年長のGK川島も「予測できないことが起こるのが最終予選」と泰然自若とする。

日本は、幾度も逆境を乗り越えてきた。忌まわしき「ドーハの悲劇」の地で、「ドーハの歓喜」を日本に届ける。【栗田尚樹】