ワールドカップ(W杯)カタール大会のアジア最終予選で早くも2敗を喫し、7大会連続の本大会出場に黄信号がともった日本代表が9日、国内で練習を再開した。7日(日本時間8日未明)に0-1で敗れたサウジアラビア戦(ジッダ)後、チャーター機で8日深夜に帰国。引き分け以下に終わった場合、森保一監督(53)が解任される可能性もある12日のオーストラリア戦(埼玉)に向け調整した。極めて厳しい状況だが、選手たちは動じているような様子を感じさせることなく、メニューをこなした。

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やや風が冷たく感じる午後5時過ぎ。経験豊富な3人がランニングで、チームの先頭に立った。中央にはDF吉田主将。敗れたサウジアラビア戦後には差別的な行為に激高。さらに、自身の代表選手としての進退にまで言及するなどした。一方で「いいチームは、ここから盛り返せる」と語っていた。

右にはMF柴崎。低調なプレー内容だったサウジ戦で失点につながる痛恨のパスミスを犯し、チームを苦境に追い込んだが、チームを引っ張る自覚を貫くからか、いつも走る先頭の位置を変えることはなかった。そして、左にはフィールド選手で最年長、サウジ戦後「実力不足です。責任を感じています、ベテランとして」と敗戦を受け止めた35歳のDF長友がいた。開幕3試合で早くも2敗。過去6大会で最低の「3戦勝ち点3」という危機的状況に追い込まれたが、吉田や長友は、笑みを浮かべる場面もあった。

過去、W杯アジア最終予選や、本大会で苦境に立たされた日本代表は選手間ミーティングなどを行い、カンフル剤のようにして乗り越えてきた歴史がある。だが、今回は「まずはレスト(休養)。(移動の)機内でもそれぞれ休みをとった。細かい話はしていない」(DF冨安)。特別なミーティングなどはなく、決められたスケジュール通りに過ごした。

取材対応含め平常運転。一般公開されていないこともあり、練習場には物々しさも、浮足立つ雰囲気もなかった。チームもスタッフも、見る限りは、淡々と運命の一戦への準備を開始した。