約半年ぶりの日本代表復帰となったMF旗手怜央(24=セルティック)が大舞台への救世主となる。

日本サッカー協会は15日、今月下旬のドイツ遠征に臨むメンバー30人を発表した。11月開幕のW杯カタール大会を前に最後の代表活動となるが、ここにきてケガ人が続出。欧州チャンピオンズリーグ(CL)で輝きを見せる旗手が、日本の光となれるか。

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24歳の旗手への期待が、森保監督の言葉からにじみ出た。「彼自身が存在感を発揮して、結果を出して、この招集をつかみ取ったと思っている」。最高峰の舞台で見せる活躍は、指揮官の目にも明らかだった。

CLではここまで全2試合に先発出場。6日の初戦は、前回王者レアル・マドリードを相手に攻撃の中心となった。14日のシャフタル・ドネツク戦では“幻のCL初ゴール”をマーク。前半10分、ペナルティーエリア内に勢いよく走り込むと、相手GKとDFの間を抜いてシュートを放った。

判定はオウンゴールに訂正されたものの、鮮やかなプレーであることは変わらない。「東京五輪から、彼が大学生の頃から一緒に活動している。常に成長が見える」。かねて旗手を見続けてきた森保監督は、CL2試合でのプレーを例に挙げながら、進化に目を見張った。

最大の持ち味は、どのポジションもできるポリバレントぶりだ。静岡学園高から順大に進み、川崎フロンターレに入団。川崎Fではインサイドハーフ、ウイング、サイドバックまで、あらゆるポジションをこなし、高い適応能力を見せた。昨夏の東京五輪はDF登録。もちろん今回は前線での活躍が期待されるが、その順応ぶりは武器になるはずだ。

W杯開幕を約2カ月後に控え、不安な事態が続いている攻撃陣。FW浅野は左膝靱帯(じんたい)を断裂し、コンディションが心配されていたFW大迫は今回のメンバーに選ばれなかった。旗手に大きな期待がかかるのは、世界の舞台でもまれ、培われた攻撃力。ドイツでアピールを続ければ、W杯のメンバー入りも近づいてくる。若きユーティリティープレーヤーが、日本の窮地を救う旗手になるか。【磯綾乃】

◆旗手の今季 7月31日のリーグ開幕戦に先発出場するなど、ここまで4試合に出場し3試合でスタメンを張りチームの首位に貢献。CLでは全2試合に先発。6日のレアル・マドリード戦は0-3で敗れたが、テンポのいいパスさばきや強烈なミドルシュートを放ち、現地メディア「デーリー・メール」がチーム最高の8点をつけた。

 

旗手怜央(はたて・れお)アラカルト

★生まれ 1997年(平9)11月21日、三重・鈴鹿市出身。地元のおすすめグルメは「赤福」。

★サイズ 171センチ、70キロ。利き足は右。ニックネームは「レオ」。

★経歴 FC四日市ジュニア-FC四日市-静岡学園-順大を経て、20年川崎Fに入団。J1通算62試合10得点。21年にセルティックへ完全移籍。

★代表歴 各年代で選出され、U-22日本代表だった19年のトゥーロン国際では準優勝。昨夏の東京五輪メンバー。国際Aマッチは1試合0得点。

★父はPLの名ショート 父浩二さんは、高校野球の名門PL学園出身。桑田&清原の1学年上の遊撃手として春、夏の甲子園でともに準優勝。社会人の本田技研鈴鹿(ホンダ鈴鹿)では10年連続で都市対抗に出場した。