日本サッカー協会(JFA)が、来年も再来年も元日に日本代表戦を開催する検討を始めたことが19日、分かった。6万2000人弱を集めて盛況だった今年の史上初開催に続き、東京・国立競技場で少なくとも26年までの2年連続で行うことを視野に入れた。メンバー招集や対戦国の招待は難航するものの、次回26年W杯北中米大会に向けて選手層の拡大、森保一監督(55)の戦術浸透など図る場とする。天皇杯の決勝で定着していた「サッカーで年明け」を代表が継承する。

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新年の到来を告げる日本代表戦が、再び国立に帰ってくる可能性が出てきた。今年、元日では史上初となるA代表の試合が実現。アジア杯カタール大会に向けた強化の一環としてタイと国際親善試合を行い、正月に6万1916人の歓声を受けて5-0快勝していた。

国際Aマッチデーではなく、欧州では年末年始にリーグ戦が中断しない国もあったため、イングランドの三笘や遠藤主将、スペインの久保らフルメンバー招集はかなわなかった。しかし国内外の5選手がAマッチ初出場を果たし、MFの伊東や南野、堂安ら常連組と息を合わせた。多くの新戦力が森保ジャパンの戦術に触れ、哲学を共有できた。

チームの底上げにも、ファン層の拡大にも、メリットが大きかった元日A代表戦。関係者によると、成功の9日後、千葉県内で開かれたJFA技術委員会で話題に挙がったのが「継続」案。幹部が各委員に「初の試みの国立タイ戦が注目され、また元日に代表戦を開催しよう、という話が出ています」と伝えたという。

さらには、少なくとも26年までの2年間、実施する可能性がある模様だ。例年この時期は、欧州組の一部もJリーグ勢も休養が最優先。今年は原則4年に1度のアジア杯があったため、その調整としてタイ戦が形になり、ドイツやベルギー組が合流を許されていた。

来年以降は違う。相手を探すことも難しく「簡単ではないとは思う」と幹部は認めつつ、若手強化の場として残したい思惑がある。今夏パリ五輪を目指すU-23日本代表が、来年になればA代表の予備軍となる。その若手を来年の元日に集める案が模索するという。

「史上最強」と称される森保ジャパンの“1軍”とアンダーカテゴリーの実力差は明確。W杯アジア最終予選が始まる25年の冒頭、経験を積ませる場として活用できれば選手層は厚みを増す。何より、新年1発目から6万人を超えるファンを喜ばせた興行として魅力が再確認された。新たな「風物詩」へ、協会が2年連続で会場を確保しつつ強化していく検討が始まった。