性加害疑惑報道で、今冬のアジア杯カタール大会を離脱したMF伊東純也(31=スタッド・ランス)は、W杯アジア2次予選北朝鮮戦(21日・国立、26日・平壌)の招集が見送られた。所属チームでは試合に出場しており、森保一監督(55)も苦しい胸の内を明かした。伊東を欠く攻撃陣には、FW小川航基(26=NEC)、相馬勇紀(27=ガザピア)らが復帰し、過去4戦無得点の敵地平壌での決戦に臨む。

   ◇   ◇   ◇

所属チームでは「推定無罪」として試合出場を続けているが、伊東を招集しないことを決断した。女性2人から刑事告訴され、伊東側も相手を「虚偽告訴」として刑事告訴している状況でも、プレー機会が与えられている。左のMF三笘薫も負傷離脱中。持ち味のスピードを生かし右サイドを切り裂き、好機では中に切り込みシュートを打つ伊東のプレーは、森保監督にとっても一緒に戦ってほしい人材だ。

同監督は「我々も彼のパフォーマンスと状況を踏まえた上で、招集は可能だと思っているし、したいと思った」と率直な思いを吐露した。その上で「彼を守るために招集しなかったという判断をさせていただいた」と話した。

招集されれば、周囲が騒がしくなるのは必至だ。「彼が落ち着いてプレーが出来る環境にならないと想像している。彼だけではなく、チームとしての活動も。彼が一番大事にしている家族への影響を考えると、今は招集しない方がいいのかなと判断させてもらった」とした。

伊東はアジア杯期間中に性加害疑惑が報じられ、チームを途中離脱した。日本サッカー協会の田嶋会長は、離脱理由にスポンサーへの配慮も示唆していた。今回の北朝鮮戦ではホームの試合は日本テレビ系での中継も予定されている。山本昌邦ナショナル・ダイレクター(ND)は、スポンサーの影響について「一刻も早く(伊東が)プレーが出来る環境を整えたいと思っている。その中で、専門家のご意見も伺い協会としてどう対応するか議論を進めている」と話すにとどめた。他競技でも、書類送検された選手が不起訴が決まるまで試合に出られない状態が続くケースがあった。最近では、性加害疑惑が報じられた著名人が番組を降板している。伊東が代表のピッチに戻るまで、まだ時間がかかりそうだ。

▽伊東の性加害疑惑報道をめぐる経過

◆24年1月31日 女性の同意を得ないまま性行為に及んだとして刑事告訴されたと「デイリー新潮」が報じる。

◆同2月1日 伊東側が女性に「虚偽告訴容疑」で大阪府警に告訴状を提出。

◆同2月1日 日本サッカー協会は伊東の離脱を発表。選手らから伊東残留への声があがり離脱先送り。

◆同2月2日 田嶋会長が会見し離脱を発表。

◆同2月11日 所属チームでリーグのロリアン戦で先発フル出場。

◆同2月19日 性加害はなかったとして、女性らに約2億円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。