日本サッカー協会(JFA)は15日、都内でU-23日本代表が臨む国際親善試合のU-23マリ戦(22日、京都)、同ウクライナ戦(25日、北九州)のメンバー26人を発表した。

この2戦がパリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジア杯(4~5月、カタール)前に行われる最後の実戦。同予選には海外組のアタッカー陣を招集できない可能性がある中、MF荒木遼太郎(22=東京)が22年3月以来、約2年ぶりに選出された。リーグ戦3戦3発と好調な男が、パリ切符獲得への切り札になる。

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ファンタジスタが出世街道に戻ってきた。21年にJリーグベストヤングプレーヤーを受賞したMF荒木が、2年ぶりにパリ五輪世代の代表に復帰した。過去の同賞には小野伸二や宇佐美貴史、南野拓実、田中碧らが名を連ね、五輪やW杯で活躍。久々の大舞台に向け、クラブを通じ「自分を応援してくれている方々の期待に応えられるように頑張ります」と意気込んだ。

失いかけた輝きを取り戻しつつある。鹿島でのプロ2年目に10得点とブレーク。10番を任され、22年にはA代表にも招集されたが負傷が続き、クラブでの出番を失った。それでも、今季期限付き移籍で加入した東京では、トップ下を担い水を得た魚のように躍動。開幕3戦3発の猛アピールで、五輪最終予選前最後の実戦メンバーに滑り込んだ。

求められる役割は大きい。4~5月に行われる同予選は国際マッチデーではないため、クラブ側に選手の派遣義務がない。昨年11月のアルゼンチン戦で10番を背負い、2得点を奪った鈴木唯人(ブレンビー)をはじめ、三戸舜介(スパルタ)小田裕太郎(ハーツ)ら海外組を呼べない可能性が高い。その中で、大岩監督から「東京でのパフォーマンスをそのまま発揮してくれれば力になってくれる」と期待をかけられた。決してお試しではなく、戦力として必要とされている。

すでにパリ切符を手にしているマリ、ウクライナ相手に大きなインパクトを残せば、五輪予選から本番へ、そしてその後のA代表と、再び黄金ロードが開けてくる。【佐藤成】

◆荒木遼太郎(あらき・りょうたろう) 2002年(平14)1月29日、熊本県生まれ。ロアッソ熊本ジュニアユース-東福岡。同校から20年鹿島入り。J1通算91試合16得点。170センチ、60キロ。血液型O。右利き

 

大岩剛監督(51)は、パリ五輪出場を決めている2チームとの対戦を前に気を引き締めた。最終予選前の貴重な実戦の場となるだけに「しっかり目的を持って、最終予選に向けて準備をしていく」と宣言。さらに「強豪国とやることで我々のやるべきこと、やらなければいけないことが明確になる。その中で、それを修正、改善、成長させることで、最終予選に向けていい準備になるのではないかなと思っています」と、位置づけた。