日本代表MF柴崎岳(22=鹿島)が偉業を達成し、アギーレジャパンを初勝利へ導く。10日のジャマイカ戦(デンカS)では、右インサイドハーフで代表2戦目の先発が濃厚。代表デビュー戦となったベネズエラ戦(9月9日)でゴールを決めており、再びゴールを奪えば国際Aマッチでデビュー戦から出場2戦連発となる。13年7月東アジア杯のFW柿谷曜一朗(24)以来史上6人目の偉業に挑戦する。

 欠けていく月明かりに照らされた柴崎の顔には強い覚悟が表れていた。明日10日のジャマイカ戦に向け、徐々に士気を高めているようだった。

 中盤の右として先発が濃厚。「いろんな持ち味のある選手がいる中で、チームを良くするために出来ることを、間違いなくやらないといけない。攻撃面の分かりやすい結果だったら、ゴールとかアシスト」。鋭いまなざしでデビューからの2戦連発へ、意気込みを話した。

 先月のベネズエラ戦では、あいさつ代わりの1発をたたき込み、普段はクールな男が珍しく満面の笑みを咲かせた。A代表の初舞台でゴールし、続く2戦目にも決めたのは、95年の名波浩や、代表で共闘する昨年の柿谷ら名手ぞろい。もし次戦でネットを揺らせば、史上6人目となる偉業だ。「チームのことを勝たせるために、スキやチャンスがあればシュートを狙う意識はある」。常にゴールを意識する柴崎のメンタルは、新生日本代表でもひときわ輝く。

 ザックジャパンでは「日本の心臓」といわれた遠藤保仁がつけた背番号7をつける。鹿島でのボランチとは違う中盤の右で、攻撃的要素が求められる。「もう1度呼ばれているのだから、前の合宿で評価されているところがある」と、連続しての招集をプラスに受け止め、自信を深めている。

 前線のFW本田や岡崎を生かすには重要なポジションで、日本の心臓役としてもちろん守備的な要素も忘れない。「DF陣がうまくまとまるような守備をしていかないと。上下の運動量は、鹿島でも出来ている」。柴崎には、攻守の切り替えの素早さと、運動量、球際の厳しさをベースに、ボールを失わない、取られても奪い返す強さが求められる。

 いまだ勝利のないアギーレジャパン。合宿初日には「監督の話すこと一言一言に耳をすませたい」と、全てを吸収しようと必死。まず、2戦連発で歴史を塗り替え、指揮官に1勝を届ける。【小杉舞】