横浜は2月28日、ブラジル名門サンパウロFWアデミウソン(21)の期限付き移籍での加入が内定したと発表した。期間は16年1月1日まで。リーグ開幕まで1週間。電撃的に、世界が注目するサッカー王国の逸材の獲得交渉をまとめた。今季のJ1の超目玉となるであろう新戦力は、圧倒的な経歴を持っている。

 自国開催の16年リオデジャネイロ五輪に出場するU-21(21歳以下)代表の背番号10を背負い、過去には欧州でRマドリードやACミランなど超名門も獲得を狙っていると報じられた。世代別代表の常連で、U-17(17歳以下)W杯メキシコ大会の日本戦でゴールも決めている。前線ならどこでもこなす柔軟性のある攻撃のタレントだ。

 ブラジル国内の報道では、設定されている完全移籍の買い取りオプションは750万ユーロ(約10億円)だという。現在のJクラブの経営規模では、まったく手の届かない世界的な注目株だ。今回は横浜が直接サンパウロとの交渉を持ったというが、クラブによると提携するマンチェスターCも傘下に置くシティー・フットボール・グループとのパイプを生かした補強だという。マンCブランドも、決め手になったようだ。

 注目の来日時期については、可能な限り早期で調整中。7日のJ開幕までにはやって来る見込みで、国際移籍とリーグへの登録手続きなど、すべて円滑に進めば、同日の川崎Fとの開幕戦(日産ス)で世界的な注目の中、デビューを飾る可能性もある。

 ◆アデミウソン(アデミウソン・ブラガ・ビスポ・ジュニオール)1994年1月9日、ブラジル生まれ。サンパウロユースからトップ昇格。12年にプロデビューを飾る。U-17(17歳以下)から世代別の代表入り。プレースタイルから「ロマリオ2世」の異名も。176センチ、74キロ。

<J経由で飛躍したブラジル代表>

 ▼フッキ 18歳で川崎Fに入り、札幌、東京Vと渡り歩きポルト(ポルトガル)に移籍。12年から5年4000万ユーロ(約54億円)契約でゼニト(ロシア)へ。ブラジル代表で12年ロンドン五輪、14年W杯に出場。

 ▼アモローゾ 92~93年にV川崎(現東京V)。出場機会に恵まれなかったが、その後ブラジル代表に選出され、セリエAやブンデスリーガで得点王。サンパウロでクラブW杯優勝。

 ▼ジャウミーニャ 94年9~12月まで清水でプレーし11試合4得点。96年にブラジル代表初選出。97年には南米選手権を制した。