マイナビ仙台レディースが新潟レディースを1ー0で下し、ホーム開幕戦を白星で飾った。前半、FWケイトリン・フォード(22)のドリブル突破を起点に生まれた先制ゴールを守りきり、今季初の完封勝利。14年以来の開幕2連勝とし、次節アウェー長野戦へ向けて勢いをつけた。

 FWフォードが、AFC(アジアサッカー連盟)女子年間MVPの実力を、またもや見せつけた。前半19分、左サイドを相手DF2人を引きつけながらドリブルで駆け上がる。あっさりとバイタルエリアまで到達すると右サイドでフリーとなったMF安本紗和子(26)を見逃さなかった。

 「自分で終わらすこともできたけどサイドを上がってくるのが見えたので。自分で打っていたら外していたかもしれない」(フォード)。視野の広さと冷静な判断力で横パスを送った。安本のシュートをGKがはじき、詰めていたFW中野真奈美(30)がこぼれ球を押し込むのを見届けると、両手を広げ歓喜の表情で祝福した。

 前半10分に主将のMF田原のぞみ(28)が右側頭部を負傷し途中交代。そのピンチをワンプレーで打ち消した。越後和男監督(51)は「予想外のアクシデントで精神的にも痛かった。試合に勝てたことが救い。アクシデントがなければケイトリンを途中交代していた。あのパワーはいるだけで脅威。もっと怖い存在になる」とフル出場し攻守に貢献した助っ人をたたえた。

 国産豚肉100%を使用したハンバーグが、パワーの源となっている。オフにはスカイブルーFC(米国)時代にチームメートだったGKブリトニー・キャメロン(30)と住まいの近くにある専門店に通う。仙台といえば牛タンだが、故郷オーストラリアでは食べる習慣がない。「牛タンは初めて食べたけど…。とても興味深い食べ物だとは思うわ…。でも、一番のお気に入りはハンバーグ!」と笑いを誘った。

 後半にはフリーとなった状況でゴールを外す場面もあった。「勝ち点を取れてよかったけど、あれがあったから喜びも半分。まだベストではないが少しずつ向上していければ」。まだ片りんを見せたにすぎないアジアの女王様が、次節も暴れまくる。【下田雄一】