清水エスパルスのエースFW鄭大世(33)が、「あと1」に迫ったJ1通算2万ゴールへの「無欲」を口にした。20日、清水三保グラウンドで最終調整。今日21日のアウェー川崎フロンターレ戦を前に「欲を出したら(得点は)入らない。世の中はそうなってる。記録は後からついてくるもの。チームで1点取れればいい」と話した。

 もっとも、鄭は川崎F時代の09年に、J1通算1万3500ゴールを決め、昨季はJ2通算1万5000ゴールを飾っている。文字通りの「メモリアル男」だが、ゴールはチームの勝利のために狙っており、思い出の地、等々力での試合を意識して「間違いなく力が出る」と言った。

 振り返ると、「人間ブルドーザー」と呼ばれた06~10年シーズンの川崎F時代は、自身の結果にこだわっていたという。「野心に満ちていて、向上心の塊のようだった」。忘れられない試合は、07年8月25日のG大阪戦(4-1)だ。ロングボールの競り合いから相手DF3人をなぎ倒し、得点を決めた。「あんなゴールはなかなかない」。

 約10年をへて、鄭はベテランの域になった。だが、居残り練習などでコンディションを調整しており、「今の方が体は動いている」と言う。思いは1つ。進化を証明し、清水を勝たせることだ。【保坂恭子】