待ってました! ベガルタ仙台FW石原直樹(32)が通算50得点となる先制弾を決め、勝利に貢献した。前半30分、MF永戸勝也(22)のクロスをダイビングヘッドで合わせた。メモリアル弾を皮切りに3-0と完勝し、ホーム2連勝を飾った。勝ち点を20として、順位を1つ上げて10位に浮上した。

 得点後にイレブンから祝福された石原は「正直やっととれた感じです」。50得点を目前にした15年に移籍した浦和では、故障に泣かされて在籍2季で無得点。再起を目指し期限付き移籍した仙台では、開幕戦(対札幌)で決勝弾を挙げたが、4月22日の広島戦以降、ゴールから遠ざかっていた。「ここ何試合かフラストレーションがたまっていて…」と苦しんでいた。

 悩める男に、渡辺監督は先週の初め、こう伝えた。「球が出てこなくても、動きだしをやめないでくれ」。石原と出し手とのタイミングが合っていなかったことを見抜いた。石原は早速動いた。前日2日の練習で永戸とじっくり話し合い、より前でボールをたたき込むことにした。

 永戸も必死だった。ストライカーは居残りでシュート練習をする。スーパールーキーは、その姿からプロの生きざまを感じ取った。「僕らが先に帰るわけにはいかないじゃないですか。あの年までサッカーをやっているのはそれなりの理由があるはず」。石原のメモリアル弾が近づくと、「できるなら僕がアシストしたい」と決意していた。願いはかない、「良かったです」と笑みを浮かべた。

 石原は「練習通り。自分の動きに合わせて、キックを変えられる。タイミング良く中に入ってくる」と、2アシストの永戸をたたえた。攻撃のリズムが良くなってきた今、指揮官が「もっともっとナオ(石原)が輝けるように他の選手もやっていかないと」と言うように、目標の「トップ5」入りには石原が必要だ。【秋吉裕介】