後輩よ、待ってろ。天皇杯2回戦は今日21日に行われ、ベガルタ仙台は筑波大(茨城県)との初戦に臨む。左ウイングバックで先発濃厚のMF中野嘉大(24)は母校との一戦で、定位置奪取に拍車をかける。

 中野は17日のアウェー・サガン鳥栖戦で、途中出場ながら移籍後初ゴールを決めた。会場に訪れた母校佐賀東高の関係者の前で、晴れ姿を披露した。次も母校の筑波大との対戦となり、中野は「モチベーションになりますね」と一瞬、白い歯を見せたが、「映像などを見て、強い筑波だと感じた」と表情を引き締めた。数々のプロ選手を輩出した大学サッカー界の名門。昨年末の全日本大学選手権では13大会ぶりに優勝し、現在、関東大学リーグ1部で首位。天皇杯1回戦ではJ3のYSCC横浜を破った。その原動力の4年生は、中野が4年生時の14年に入学している。

 その年、筑波は戦後初、2部降格となる。最上級生だった中野にとって、最大の屈辱だった。後輩たちが、はい上がりここまで来た今を「ずっと勝っているのは本当にすごい」と認める。個人では、リーグ得点ランク1位(8得点)でジュビロ磐田内定FW中野誠也(4年)を「裏へ抜けるのがうまい選手。プロ相手に普通にできると思う」と分析した。

 仙台は昨年の天皇杯で、J3グルージャ盛岡に初戦で完敗する屈辱を味わっているが、中野は「プロなので差が生まれると思う」と、キッパリ言い切った。鳥栖戦と異なり、左サイドでの出場になる。「カットインが右サイドよりしやすい。ゴールを狙える確率が上がる」と、連発で先輩の貫禄を示す。【秋吉裕介】