J1残留争いの中にいる清水エスパルスは今日30日、J2降格圏内の17位大宮アルディージャと敵地で対戦する。29日は、清水三保グラウンドで最終調整。今季9得点のFW鄭大世(33)が、リーグ9戦ぶりに先発する見込みで、FWチアゴ・アウベス(24)との強力2トップが、リーグ12戦ぶりに復活する。勝てば残留の道が開け、負ければ窮地に立つ。チーム全員が「絶対に負けられない戦い」と気持ちを高めている。

 青空の下、明るい雰囲気で終えた練習後、小林伸二監督(57)が、この一戦に懸けるチームの思いを口にした。「全員のモチベーションが高く、質の高い練習ができた。『やらなくちゃいけない』と全員がなっている」。

 左ふくらはぎ肉離れから復帰し、先発する見込みの鄭は28日、接触プレーで左目付近を負傷した。まだ腫れの残るまぶたで、眉の上にばんそうこうを付けて練習に参加した。チアゴとの2トップが12試合ぶりに復活すれば、最強の攻撃布陣で大宮戦に臨める。その思いから痛みを訴えることなく、エースは言った。「チアゴとはゴール前でチャンスを作れる。FWが点を取らないと勝てない。FWには責任がある」。

 一方で守備には不安が残る。失点数45はリーグワースト3位タイ。最近13試合連続で先発のDF二見宏志(25)は、28日の練習で左足首を痛め、この日の練習に不参加。大宮戦の出場は回避し、代役はDFカヌ(31)の見込みだ。その状況も踏まえ、小林監督は「まず前半は失点しないように、リスク管理をしながら必ず勝ち点を取って帰って来ます」と誓った。

 チームのピンチにスポンサーも動いた。大宮戦に勝利した場合、株式会社シズオカミートから、全選手と現場スタッフの全47人に、黒毛和牛すき焼き肉1キロが、贈られることになった。総額約70万円の大盤振る舞いだ。さらにNACK5スタジアムのアウェー席チケットは完売。約3000人の清水サポーターが駆けつける見込みで、MF白崎凌兵(24)は「次に勝つことの意味が重要。みんなが理解している」と言った。残り7戦。J1残留が懸かった今、ホーム、アウェーに関係なく勝ち点3を狙いにいく。【保坂恭子】