静岡は4強が出そろった。県3冠を狙う静岡学園は2-1で磐田東に逆転勝ちし、準決勝進出を決めた。準決勝の静岡学園-浜松開誠館は12日、袋井・エコパスタジアムで行われる。

 伏兵の1発で勝負を決めた。静岡学園は1-1で迎えた後半14分、細かいパス回しで右サイドを崩した。相手をひきつけて中央に展開すると、ゴール前でボールを受けたMF河口雄太(3年)が右足一閃(いっせん)。低い弾道のシュートがゴール右隅に突き刺さると、歓喜する仲間からもみくちゃにされた。公式戦初ゴールが準決勝進出を決める値千金の決勝点。試合後は「本当にうれしいです」と満面の笑みを見せた。

 くすぶっていた気持ちを爆発させた。河口は新チーム始動からAチームでプレーしていたが、控え生活が長かった。「試合に絡めなくて悔しい思いをしていました」。8月の全国総体でもベンチで見守り、同大会後に右足首を負傷した。約1カ月間の離脱を余儀なくされたが、復帰後は練習から猛アピール。3日の決勝T1回戦で約3カ月ぶりに公式戦出場を果たし、この日、主役になった。

 川口修監督(44)も期待に応えたヒーローを手放しでたたえた。「(河口は)決定力がある。彼のよさが出ました」。チームは4年連続で4強入りし、同校史上初となる県3冠まであと2勝とした。河口は「次も自分のゴールでチームを勝たせたいです」。その目と言葉には力がこもっていた。【神谷亮磨】