今季のデータを独自の視点で分析して各賞を選出する、恒例「ニッカン・フットボール・アウォーズ」を今日から2回にわたって連載します。第1回はJ1攻撃編。セレッソ大阪FW杉本健勇(25)は、シュートを打ちまくり、日本人選手初の記録を残した。今季の枠内シュート数はリーグ最多。もちろん最後は、得点してこそ評価されるが、およそ100本の不発にも積極性を失うことなく、リーグ2位の22得点を挙げた。

 今季の杉本は、リーグ戦34試合に出場し、得点ランク2位の22ゴールをマークした。シュート数は2位の121本、枠内シュートは1位の61本。相手GKを最も脅かした。もちろん最後はゴールを決めてこそ評価されるが、シュートを120本以上放った上で20得点以上は珍しく、年間ホームアンドアウェー各1試合制となった96年以降では11人目。過去10人はいずれも外国人FWで、日本人選手では今季の杉本が初めてとなった。

 今季の初ゴールまでに要した出場時間は609分と遅かった。不発に終わったシュートも99本。シュート決定率は得点王を争った川崎FのFW小林より低かった。それでも積極性を失わず、貪欲にゴールを目指した。ストライカーとしてゴール前に何度も飛び込み、味方にパスを要求した。これまでの日本人FWにはあまり見られなかった姿勢かもしれない。

 自ら持ち込んで数多くのシュートを放ったわけではなかった。味方のパスやクロスなどをダイレクトで仕留めた得点はリーグ1位の16点(他PK2点)。鋭く動きだし、相手DFのマークを外す。そうして味方のラストパスを引き出し、今季の「1タッチ得点王」となった。

 J1昇格プレーオフを制してJ1に復帰したチームはいずれも最下位でJ2に逆戻りしていたが、今季のC大阪は3位(昨季J2で4位)。11月にはルヴァン杯を制し、クラブ初のタイトルも獲得した。そこで杉本は先制点を挙げてMVPを受賞。チーム躍進の立役者になった。【石川秀和】