帝京大可児(岐阜)が、滝川二(兵庫)を0-2からの逆転勝利で初の3回戦進出を決めた。

 帝京大可児は、ドリブルの個人技と緻密なパスワークを駆使した攻撃力が特長で、岐阜県予選も5試合で50得点をたたき出し、今大会も初戦で徳島北(徳島)に3-0で快勝していた。前半10分、17分とコーナーキックから立て続けに失点。だが、直後の前半21分にFW西尾綾祐(3年)のゴールで1点を返し、流れを引き戻した。堀部直樹監督は「伝統ある相手の校名に気後れしてプレーしていたかもしれない。ハーフタイムでは、チャンスができているから、やってきたことを出すこと、やり続けることを選手に話した」と振り返った。

 後半5分、ペナルティーキックを獲得すると、キッカーのFW大森颯樹(さつき、3年)が冷静に左隅に流し込み同点。その後もゴール前に厚みのある攻撃を仕掛け、後半31分に再び大森颯のゴールで勝ち越し試合を決めた。大森は「プリンスリーグ(東海)でも、静岡学園に0-2から追いついたこともあったので、2失点しても焦らなかった。点を取られて攻撃にスイッチが入った。学校の歴史を塗り替えられてうれしい」。

 初戦はチームは快勝も、自身は不発に終わり不完全燃焼に終わっていた。それだけに「今日はやってやろう、と強い気持ちを持って臨んだ。気持ちが空回りすることが多いんですけど(笑い)、しっかり決めることができた」と笑顔を見せた。次戦は京都橘(京都)を下した上田西(長野)と対戦する。夏の全国高校総体では、京都橘と初戦で対戦し、大森颯が前半30分に一発レッドカードで退場となり、チームも敗れていた。以降、チームで「人のせいにしない」「どんな状況でもポジティブに」をモットーに、巻き返しを誓ってきた。今では笑って退場のことを振り返る。京都橘へのリベンジマッチはかなわなかったが、学校の歴史を再び塗り替えるため、貪欲にゴールに向かう。