湘南ベルマーレの曹貴裁監督(49)は、名古屋グランパス戦後の会見で「結果だけ見ると、0-0でゴールが生まれない試合は、とかく退屈だと言われますけど、今日の試合は違ったんじゃないかと自分では思っています」と総括した。

 試合の狙いについては「誰が見ても(名古屋に)タレント力があるのは、どの試合を見ても分かっていた。それに対して前半から、我々のナイフで彼らを刺そうとしていた」と、独特の言いまわしで説明。その上で「そういう意味では90分通して、我々はうまくいったと思う。後半、何回か彼らが我々のプレスに困ってボールを失って、あそこで仕留められれば、ほぼパーフェクト」とも語った。

 先だって行われた会見で、名古屋グランパスの風間八宏監督(56)は「一言で言って(ゴールが)入らないなじゃなくて、入れないな、というゲームだった」と語っていた。曹監督は「八宏さんは多分、シュートを決められなかった感じで話されんだなと予想しますけど、俺はあまりそうは思っていないというか、ここで張り合ってもしょうがないんだけど、こっちも決められたよという気持ちでいるんですけど」と言い、取材陣を笑わせた。

 名古屋と湘南は、J2で戦った17年は1勝1敗で、ともにホームで湘南が2-1、名古屋が3-2で勝利と接戦だった。風間監督が川崎フロンターレを率いた12年から16年の間に、湘南がJ1で戦った13、15、16年に対戦した6試合でも互角の勝負を展開し互いのホーム、アウェイでの戦いは1勝1分け1敗と対戦成績は五分で、勝敗は全て1点差で決まっていた。曹監督は「八宏さんのチームとやる時は、いつもお互いにコンパクトでやれた。川崎フロンターレと名古屋グランパスという、八宏さんチックなチームと続けて出来た。フロンターレとやっていたのは良かった」と語った。その上で「さすが、この短期間で、あれだけのチームを作ってくる、風間さんのサッカーに対する情熱をあらためて感じましたし、僕もそこから学んで我々の道をしっかり進んで次も勝てるように準備したい」と熱く語った。

 今季の湘南については「J1のシーズンを、ずっとやってないんで、あまり説得力はないですけど(これまでは)終わった後に、もういっぱい、いっぱい…これ以上、いかないなという試合が多かったが、今日の試合を含め、もっと俺ら出来るな、という感情が選手の95%を占めていると思っていて、それがチームののびしろかな」と自信を口にした。

 今季、浦和レッズから獲得したMF梅崎司、サンフレッチェ広島から獲得のミキッチは、いずれも途中出場だった。曹監督は「梅崎やミキッチなど、優勝チームから来た選手も指定席はないし、キャプテンの高山薫も悪ければ外される。いないから出ると言うよりも、良い循環の中で選手を見られているのが非常に今シーズン、自分自身も楽しみ」と期待した。【村上幸将】