開幕から唯一、3連勝のサンフレッチェ広島が、ホームにジュビロ磐田を迎え撃つ。

 広島は16年7月2日のホーム戦に3-0で勝って以降、磐田には2勝1分けとリーグ戦で負けがない。ホーム戦に限ってみても、10年10月16日に1-1で引き分けて以来、4勝2分けと、磐田を完全に“お得意さん”にしている。さらに今季は、磐田で日本代表入りがささやかれるまでに成長を遂げた、MF川辺駿が4季ぶりに復帰し、中盤に君臨している。磐田の名波浩監督のサッカーを熟知する川辺が、どのような“恩返し”をするのかにも、注目だ。

 また3連勝は逃したものの、2勝1分けと無敗をキープする4位名古屋グランパスが、同じく2勝1分けで2位の川崎フロンターレをホームに迎え撃つ1戦も見逃せない。名古屋を率いるのは、12年から16年まで川崎Fを率い、縦に速い川崎Fのサッカーを、ボールを大切に回すパスを主体とした連動性の高いものへと一変させた風間八宏監督だ。17年に川崎Fを悲願の初優勝に導いた鬼木達監督も、風間監督の下でコーチを務め、選手とともに研さんを積んだだけに、互いを熟知した同士の対戦がどう転ぶかは、互いが進む道を分けてから、どのように成長したかにかかっていると言えそうだ。

 そこで興味深いのが、11日の第3節で名古屋と対戦し、0-0で引き分けた湘南ベルマーレ曹貴裁監督の試合後の談話だ。

 曹監督 八宏さんのチームとやる時は、いつもお互いにコンパクトでやれた。川崎フロンターレと名古屋グランパスという、八宏さんチックなチームと続けて出来た。フロンターレとやっていたのは(経験として)良かった。さすが、この短期間で、あれだけのチームを作ってくる、風間さんのサッカーに対する情熱をあらためて感じました。

 曹監督は、湘南がJ1を戦った13、15、16年に川崎フロンターレと6試合対戦し2勝2分け2敗、J2を戦った17年は名古屋と1勝1敗と、風間監督が率いるチームと互角の戦いを演じ、その全てが1点差ゲームだった。18年に初めて0-0で引き分けた試合後、風間監督が率いる川崎Fと名古屋の類似点を指摘する一方、名古屋の急成長を高く評価した。湘南戦では、狭く密集したエリアを巧みなパスで抜け出すMF青木亮太と和泉竜司の2人が光った。

 名古屋は川崎Fにリーグ戦で4連敗中で、8試合連続勝ちがない上、ホームでも2連敗&5戦勝ちなしとデータの上での相性は最悪だが、これは風間監督が率いる前のデータだけに参考にはならない。風間監督が指導した選手同士が、ピッチ上で、どれだけの火花を散らすか…Jリーグで、新たな“名勝負数え歌”の幕が開けるか、注目だ。