サンフレッチェ広島が川崎フロンターレとの上位対決を1-0で制し、首位に浮上した。後半40分にFWパトリック(30)の決勝ゴールで昨季王者との無敗対決を制した。昨季は勝ち点1差の滑り込みで残留。チーム立て直しのため、城福浩監督(57)を招聘(しょうへい)し、徹底構築した守備をベースに5戦負けなしと躍進している。

 後半40分、広島がついに均衡を破った。決めたのは、13年にわずか半年で川崎Fを退団したパトリックだった。MF柴崎の左CKをヘッドで合わせ、GKにはじかれた。こぼれ球をDF佐々木がヘッドで落とすと左足で押し込んだ。「(川崎Fに)短期間でもいたことがモチベーションになった」と笑みを浮かべた。

 人もボールも動く川崎Fに翻弄(ほんろう)されず、選手は襲いかかるようにプレスをかけた。パトリックが「相手のサッカーをさせなかった。とにかく今は練習するのみ」という言葉に、勝ち点1差で滑り込み残留を果たした広島躍進の秘密があった。

 川崎F自慢の攻撃を封じた守備は、J1全18チームで最も遅い1月22日の始動を受け、城福監督が「守備を構築しないと戦い抜けない」と必要にかられて構築したものだった。開幕まで時間がない上、第2節で浦和、第3節で鹿島と強豪とのアウェー戦が続き「黒星が先行する状況で戦わなければいけなくなる」と開幕まで守備の構築に専念した。

 開幕以降の練習は攻撃が中心となった。広島もボールをつなぐサッカーが信条だが、17年はそこをカウンターで突かれて降格の瀬戸際まで追い込まれた。主導権を握る「ムービングサッカー」を年間目標にし、試合を重ねるにつれ、習熟度を上げていった。生え抜きの主将、青山は「練習メニューから、がらりと変わった。今までになく、とにかく走っている」と苦笑いを浮かべた。

 浦和、鹿島に続き、昨季王者の川崎Fと強豪をいずれもアウェーで撃破。監督は「自分たちの思い描いたプランでできている」と確かな手応えを口にした。【村上幸将】