鹿島アントラーズDF昌子源が、ストライカーばりの鮮やかなゴールへの嗅覚を見せた。

0-0で迎えた前半34分のFKから、DF西大伍が胸に当てたボールが目の前に落ちてきた。その瞬間、脳裏にひらめいた。「僕はディフェンダーなんで、1発目のシュートには必ず、何人か飛び込んでくるなと思った。1度、キックフェイントを入れた方がいいなと、大伍くんが落とした時点で決めていた」。

その言葉通り、打つと見せかけてワンフェイント入れる。そこでコースがわずかに空いた。体勢を崩しながらも右足で狙い澄ましたシュートを放つ。ボールは、日本代表GKシュミット・ダニエルの手をすり抜けて、右ポストに当たってゴールに吸い込まれた。

「見えていなかったんですけど、みんなが喜びに来てくれたので『うわ、入ったんや』って。そして、みんなが『FWや、FW! さすが元FW!!』って(笑い)」。DFリーダーの今季初ゴールを、チーム全員で祝福した。中2日のチームにこの先制点は大きく、鹿島の攻守の切り替えが一気に早くなった瞬間だった。

試合前の宿泊ホテルでのミーティングで、大岩剛監督から「常に上を目指す」と言われたという。天皇杯やクラブ・ワールドカップ(W杯)も控えるが、優勝を逃したリーグ戦で言う「上」とは「2位」だと昌子は強調した。一時は13位にまで沈んでいた常勝軍団は、現在2位のサンフレッチェ広島を逆転できる勝ち点差まで詰めてきた。残すは最終節のサガン鳥栖戦だけ。その鳥栖には今夏、鹿島から移籍したFW金崎夢生がいる。そこで昌子は1つの珍提案を行った。

「夢生くんの性格的に、気合は絶対入っている。鹿島サポーターがどういう反応するか分からんけど(移籍で出て行った選手に)ブーイングって良くするやん。でも、オレは経験したことないけど、いろいろ聞くと、ブーイングされると『燃える』って言う。なんで燃えるかと言ったら『嫌な選手』だと思われているからブーイングされるわけで…。逆にブーイングせん方が『えっ、なんで?』みたいな…。スルーです、あえて。『金崎夢生』って呼ばれた瞬間、何もない。その方が、しんどないすか?」

そんな呼びかけを、冗談めいて提案した昌子だが、金崎との対戦は楽しみの1つでもある。「夢生くんと敵でやったことがないから、すごい楽しみ。紅白戦とかはあるけど、公式戦とは違うから」。そう言って目を輝かせていた。