浮上のきっかけがつかめないガンバ大阪に“救世主”が出現した。ホームで鹿島に1-1引き分けも、今季初先発のFW食野(めしの)亮太郎(20)が前半13分に先制ゴールを決めた。5月11日鳥栖戦でJ1初ゴールを記録したばかり。15位に低迷するG大阪だが、愛称「浪速のめっし」がその存在感を際立たせてきた。

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今季初先発に抜てきしたG大阪宮本監督の期待に応えた。前半13分。FWアデミウソンがゴール前で競って落としたパスに、素早く反応した食野が右足を振り抜く。今季2点目となる先制ゴールは、鮮やかに突き刺さった。

前節札幌戦はスコアレスドロー。活性化しない攻撃陣に打った一手が早速、機能した。宮本監督は「調子がよかった。2トップに加わる力を見せた」と抜てきの理由を明かした。昨季J1デビューし、11試合無得点に終わった。だが、今季は5月11日鳥栖戦で途中出場ながらドリブルで切り込み、J1初ゴールを決めた。そのプレーが国内外に拡散され、絶賛された。愛称は「浪速のめっし」だ。

今季J3では8得点で得点ランク首位に立つ。J1では4月28日仙台戦から6戦連続ベンチ入りを果たし、この日で5試合2得点。「チームを勝たせるのが目標。勝ちにつながっていないから満足していない」と笑顔は封印も、ポテンシャルは存分に発揮した。

昨季16ゴールでチーム得点王のファン・ウィジョをベンチに置いた。その期待を食野は感じていた。「アデ(ミウソン)、ウィジョとは違う自分の良さがある。FWの競争は激しい。使ってもらって、感謝している」。宮本監督にはU23チーム時代から指導を受けてきた。当然のごとく気持ちが入った。

前半終了間際に追いつかれてのドロー。「こういう試合を勝たないといけない」と食野は言うが「歴史的に強い鹿島を相手にゴールを決めたのは自信になる」。後半の決定的な場面で外した反省も含めて「浪速のめっし」は急成長していく。【実藤健一】

◆食野亮太郎(めしの・りょうたろう)1998年6月18日、大阪・泉佐野市生まれ。G大阪ユース出身で昨年J1デビューして11試合無得点。江戸時代に泉佐野市を中心に栄えた豪商食野家の末裔(まつえい)で話題に。171センチ、68キロ。