全国高校サッカー選手権(12月30日開幕、埼玉スタジアムほか)の組み合わせ抽選会が18日、都内で行われ、創部55年目で初出場の専大北上(岩手)は同31日の1回戦で龍谷(佐賀)と対戦することが決まった。

県大会全4戦13得点の攻撃力を武器に、ベスト8進出が最低目標。部訓に掲げている「栄光に近道なし」の言葉通り、悲願の大舞台に向けて培ってきた実力を躍動させる。昨年王者の第1シード青森山田は米子北(鳥取)と、同4強で第3シードの尚志(福島)は徳島市立と初戦(いずれも2回戦、1月2日)を戦う。

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緊張の表情で壇上に上がったMF阿部柊斗主将(3年)が、最激戦ブロックを引き当てた。青森山田、今夏の全国総体準優勝の富山第一、昌平(埼玉)、群馬県代表など強豪がズラリ。「名門校ばかりで厳しい組み合わせ。自分たちは攻撃力が売りなので、点を取られても取り返していきたい。全国ベスト8の目標を達成するためにも、初戦で勢いに乗り、1つ1つ勝っていきたいです」。相手は2年連続2度目出場の新鋭校だが、県大会全5戦無失点。堅固な守備を崩すことが最初の難関となる。

守備的MFの同主将が攻守の核となる。元スペイン代表でバルセロナなどで活躍したMFシャビ(39=アル・サッド監督)を理想にしてきた。バルセロナの映像を何度も見返し、チームに還元してパスサッカーを構築。「ボールを大切にしながら、ゴール前でのワンツーパスで、きれいに崩したい。運動量には自信があるし、攻撃面では自分から前線にスルーパスを通したい」。先発メンバーの大半が中学時代からヴェルディSS岩手でプレーした仲間だけに連係は抜群だ。

1965年(昭40)創部。硬式野球、軟式野球、卓球、陸上など県内有数の強豪部活動が数多くある中、目立たない存在だった。00年に小原昭弘監督(48)就任後に本格強化。部室に「栄光に近道はなし」と掲げ、冬場の走り込みなどで心身ともに強化を継続し、今夏の全国総体に初出場初勝利。2回戦では4強入りした京都橘に1-1からPK負けも「攻撃面では特に手応えを得られました」と全国上位校を撃破するイメージもできている。

小原監督も「上で勝つには基本的なことがしっかりできることが大事。良い準備をしたい」と初の大舞台に臨む。県勢初制覇の06年盛岡商に続けと「センキタ旋風」を巻き起こす。【鎌田直秀】