「ニッカン・フットボール・アウォーズ」の第2回は攻撃編。ヴィッセル神戸の元スペイン代表FWダビド・ビジャ(38)が、今季のJ1で先制ゴールを7点決めて「先制得点王」に輝いた。枠内シュート数も最多40本で堂々の2冠。今季限りで現役を引退する10年ワールドカップ(W杯)得点王の決定力は最後まで衰えることなく、そのプレーは日本人FWの手本となった。

38歳のビジャの決定力は健在だった。今季13ゴールのうち半分以上の7点が試合を優位に進める先制点。0-0以外の同スコア時の勝ち越しゴールを含めると最多10点を数えた。スペイン代表歴代最多59得点のストライカーは、試合の均衡を打ち破るゴールが多く、Jリーグでも当たり前のように年間2桁に到達した。

スペイン1部サラゴサでトップリーグデビューした03-04年以降、シーズン2桁得点に届かなかったのはバルセロナ時代の11-12年(5点)だけ。スペイン1部の計11シーズンで10度、米国で4年連続4度、神戸でも移籍1年目から13ゴールをマークした。

今季はシュートも最多94本で、枠内シュートも最多40本。好機にはほぼ確実に相手GKを脅かすシュートを放った。38歳になっても衰えを感じさせず、そのコントロールシュートは熟練の技。ゴールへの嗅覚も、さらに鋭さを増した印象だ。

「コンディションは良く、チームに貢献できるゴールも決められている。しかし、サッカーに引退させられるのではなく、自分から引退したい」と今季限りで現役を引退する。横浜FCの52歳FWカズに象徴されるように選手寿命は延びてはいるが、38歳で13ゴールという記録は、しばらく破られそうにない。【石川秀和】