ヴィッセル神戸MFアンドレス・イニエスタが、36歳にして悟りを開いた。神戸は21日の練習後、フィンク監督の発案で「座禅体験」を実施。

青空の下、ピッチ上で座禅を組み、精神統一したイニエスタは「座禅は初めての経験でしたが、とても楽しくできました。慣れていないので、あぐらを組むのは少し難しかったですが」と感銘を受けた様子だった。J1再開を約2週間後に控え、フィンク監督は日本文化を「結束」に取り入れた。今年2月に京都の両足院(りょうそくいん)を訪ね、座禅を体験したことがきっかけ。指揮官は、意図を「このような日本の文化になじむのは大事なことと思っている。座禅は、チームのハーモニーを奏でるためにとても良く、選手自身が自分を見つめることにより、チームがひとつにまとまるいい機会になる」と説明した。

両足院の伊藤副住職を招いて、指導を仰ぎ「チーム全体でひとつのことをやることに意味がある。全員のスピリットが上がると思っている。今のうちに精神を整えて、一致団結してシーズンに挑むためにも、この座禅体験は大きな意味がある」と続けた。

7月4日の広島戦(ノエスタ)から再び戦いが始まる。2月23日の横浜FC戦以来のブランク克服には、精神力が重要。その「心」を鍛錬する機会だった。

来日時に典型的な日本家屋に住みたいと希望したほど日本文化への造けいが深く、プライベートで何度も京都を訪れたイニエスタはその意義をしみ渡らせた。「1度奥さんと一緒に体験しに行きたいです。子どもたちをおいていかないといけないと思うので、しばらく時間がかかるかもですが、タイミングを見てぜひ訪れてみたいです」と“おかわり”さえ求めた。

心を落ち着け、高め、いざ戦いの場へ。世界を代表する選手が「無」の境地を体験した。【実藤健一】