リーグ再開から2連勝の北海道コンサドーレ札幌は、湘南ベルマーレに0-0で引き分け、3年ぶりの敵地3連勝はならなかった。ゴールは遠かったが、大卒新人DF田中駿汰(22)をプロ初先発させ、後半には初ベンチ入りの新加入ブラジル人FWドゥグラス・オリベイラ(26)を起用。開幕から3戦4発のエースFW鈴木武蔵(26)不在の中で、選手層の厚さを証明した勝ち点1となった。

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勝ち点3を取りこぼした。そう言えるだけの強さが今の札幌にはある。スコアレスドローの結果を受けて、ミハイロ・ペトロビッチ監督(62)は言った。「厳しい連戦の中でポイントを積み重ねられた。以前では負けてしまった。こういうゲームを引き分けにできるのは成長」。納得した表情ではなかったが、一定の評価を与えた。

勝ちにこだわった。先発はFW鈴木に代わって前節も起用した駒井以外の入れ替わりは、大卒新人DF田中のみ。その田中の起用も「駿汰はキャンプ、公式戦でも非常に良いものを常に見せてくれていた」と実力を知っているからこそ。プロ初先発でフル出場した田中も0封に貢献した安定した守備に加えて、左CKに頭であわせた前半32分のシュートや正確なロングパスで好機を演出。「フル出場できたのは収穫。無失点は最低限」と振り返りつつ「自分の所から起点にすることができればもっと攻撃を活性化できた」と結果には満足していない。

0-0の後半開始と同時に使った4枚の交代枠で、MF金子、高嶺の大卒新人2人に加え、FWドゥグラスを投入した。後半6分の敵陣中央からのミドルや同8分のFWジェイにつながるポストプレーなど一定の役割をこなし「勝てなかったのは非常に苦しいが、個人的なところで言うと比較的、満足できる」とJリーグデビューを喜んだ。

敵地4連戦の3試合目でも勝利を希求した。リーグ再開後初、約5カ月ぶりの観客動員試合で敵地に集う3327人のサポーターの拍手すら「自分たちのホームのような感覚でできた」と田中は言った。そして続けた。「自分が出たときに自分の強みを出してチームが勝つのが目標」。敵地4連戦を締めくくるベガルタ仙台戦を白星で飾り、ホームに帰還する。【浅水友輝】