仙台にとって激動のシーズンが終わった。木山隆之監督(48)の今季限りでの退任が前日18日に決定した中で、湘南との最終節に臨んだがスコアレスドロー。

今季は6勝10分け18敗の勝ち点28で17位、新型コロナウイルス感染拡大による特例措置で、降格のないシーズンとなったが、従来なら自動降格となる順位でフィニッシュした。さらにホーム未勝利(0勝7分け10敗)で13年大分、14年徳島に次ぐ3チーム目の不名誉記録を刻んだ。

 

   ◇   ◇   ◇

小雪がちらつくユアスタに、試合終了を知らせる無情のホイッスルが鳴り響いた。FW長沢駿(32)はピッチにひざまずき、両手を芝生に突きつけ、悔しさをあらわにした。MF松下もしゃがみ込むなど、しばらく動けない選手もいた。

仙台は「7分」と表示された後半ロスタイムにたたみかけた。相手CKからのカウンター。MFクエンカ、MF石原、FWゲデスとつなぐと、ペナルティーエリア右へゲデスがラストパス。それを受けた長沢が、狙いすましたシュートを打ったが、GKにブロックされ、この試合一番の決定機を逃した。その直後に放ったゲデスのヘッドも枠を外れた。

ピッチを後にする長沢の目には光るものがあふれ、インタビューを受ける際にも悔しさで涙が止まらなかった。33試合で9ゴールを挙げて2年連続チーム得点王の活躍も、最終戦で勝利に導けず「仕留めるところで仕留められなくて、チャンスは何回かあったし、僕自身も決定的なチャンスを決められず、非常に悔しい試合」と肩を落とした。

昨季9勝4分け4敗とリーグ4番目の好成績を収めたユアスタで今季は未勝利。「ホームで勝った雰囲気は仙台はすごいものがある。サポーターのみなさんの応援の熱さや勢いを去年はすごく感じていたし、応援できない分、僕たちがプレーや結果で示さないといけないと思っていたので、本当にふがいないシーズンだった」と責任を背負った。

17試合未勝利、経営危機、不祥事によるMF道渕の解雇などピッチ内外で苦しい1年になった。湘南戦後のホーム最終戦セレモニーで木山監督は「最終的に17位という成績に終わったことをサポーター、ファンのみなさまにおわびしたいと思います」と謝罪した。

退任することになり「ひとつだけ悔いがあるなら、本当に熱狂的な満員のスタジアムで、もうあと何試合かは戦いたかった思いはあります。その夢はかないませんが、いろいろな形でご声援いただいたことに本当に心から感謝を申し上げます」。17位に終わった現実を受け止め、仙台は再びはい上がる。【山田愛斗】

○…主将のDFシマオ・マテが、来季は多くの白星をプレゼントすることを約束した。「今年は苦しいシーズンでしたが、来シーズンはサポーターのみなさんにたくさんの勝利と喜びを届けられるように頑張っていきます」。またサポーターが選ぶ年間MVPには、好セーブ連発でチームを救い続けたGKスウォビィクが選ばれた。

▽佐々木知広社長(試合後のセレモニーであいさつ。来季に向けて)「来年は震災10年という節目の年です。ベガルタ仙台はより強く立っていかなければいけません。『スタンディング仙台』。立ち上がれ仙台を再び取り戻し、みなさまに強い姿をお見せし、経営もチーム成績も改善に努めてまいります」