J1ベガルタ仙台は29日、来季新監督に手倉森誠氏(53)の就任を発表した。青森・五戸町出身で仙台には8年ぶりの復帰。08~13年までクラブ最長タイの6季監督を務め、09年にはJ2優勝でJ1再昇格、東日本大震災が発生した11年には4位で前年14位から飛躍させ、12年には史上最高位の2位でクラブ初のACL出場権をもたらした。13年限りで仙台監督を勇退後は16年リオ五輪日本代表監督、18年W杯ロシア大会の日本代表コーチを務め、19年からはJ2長崎を2季率いた。監督としての通算成績はJ1で136試合50勝47分け39敗、J2で177試合90勝42分け45敗。手倉森氏はこの日、リモートで就任会見に臨んだ。

   ◇   ◇   ◇   

-契約後の実感や今の気持ちは

手倉森監督 最初に就任した時はJ2で、経営面でも苦しい状況だった。今回のオファーも苦しい状況ではあるが、ここで前回の経験を生かせるのは自分だなと思っている。13、14年から五輪の活動で抜けた際に、被災地の仕事が中途半端になってしまったが、再びやれる。自分が(監督を)務めている間に、J1優勝のシャーレを被災地に届ける約束を果たせればいいなと。

-チーム作りで最初に着手したいこと

手倉森監督 今シーズンの出来事で、ベガルタから気持ちを離れた市民、県民の気持ちをまずは取り戻したい。それが一番。

-震災から10年を迎える

手倉森監督 もう1回、東北は沈んではいけないということ、みんなとエネルギーを出し合うことが必要とされている節目だと思う。2021年、僕とクラブとフロント、選手、スタッフ、サポーター全員で示しあえればなと。その新たな1歩をみんなと力強く踏み出したい。

-就任後の目標

手倉森監督 厳しい状況で、サポーターの関心を損ねたニュースもあった。謙虚にみなさんの信頼を勝ち取るべく、地道なことをコツコツやって信頼を取り戻せるような戦い方を1戦1戦示したい。たくましくはい上がるだけだと思う。スタジアムに来れば、みんなが勇気や感動を持って帰ることができるような試合を約束したい。

-補強ポイントは

手倉森監督 自分がやりたいサッカーは全員守備、全員攻撃。人もボールも動いて、コレクティブに相手に仕掛けていく集団サッカーを体現したい。1人1人がボールを握られる能力がたけている選手、連動性のある選手、複数のポジションをこなせる選手にポイントを置いている。

-目指すサッカー

手倉森監督 攻守にアクション、仕掛けの姿勢を持ったサッカー。攻撃ならゴールを目指し、守備においてはゴールを守るのではなくて、ボールを奪うサッカー。挑みのある姿勢があるサッカーをしたい。

-サポーターから「待っていた」という声も

手倉森監督 あの頃を知っている方が多くいて、うれしさもあるが、うれしがってばかりはいられない。手倉森が来たから大丈夫だと思ってもらうのも逆に危うい。あの頃戦ってくれた皆さんも、手倉森が来たからには、一緒に戦うしかないと思ってほしい。

-8年を経て今のチームに与えられるものは

手倉森監督 オリンピック世代の優秀な選手や、ロシアW杯ではA代表の選手たちと一緒に活動して、日本のトップ選手のレベルを肌で感じられたときに、それを基準で選手を鍛え上げられることは、自分の中で身についたところ。決して甘えを許すことなく、上には上がいることを意識づけさせて、逆にベガルタから代表を輩出していくんだという覚悟を植えつけて、日本を代表する選手を送り出したい。