全日本大学選手権の代替大会で、東海大(関東第9代表)が、前年王者の明大(関東第2代表)をPK戦の末に下し8強に進出した。東海大の今川正浩監督は、PK戦突入が濃厚となった延長後半14分、“PK職人”で青森山田高出身のGK佐藤史騎(1年)を投入した。佐藤は3人目のキックをストップし、勝利に大きく貢献した。

佐藤は振り返る。「試合前からPKになったら行くと言われていた。4年生とまだサッカーをやりたかった。大学では練習後にPKストップの練習を毎日やってきた。止めることだけを考えてゴールに立ちました」。

明大の1人目のキッカーは青森山田高の先輩のMF住永翔(4年)。高校で一緒にプレーはしていないが「負けるわけにはいかない」とひるまなかった。住永は枠上に外し、1本目から優位に立ち、明大3人目のDF蓮川壮大のキックをストップ。PK戦を経験するのは、青森山田高3年時の、青森県大会決勝以来。全国舞台がかかる緊迫した場面でも1本、ストップしていた。「過去にも大きな場面を経験しているので、堂々と立とうと。PKになると相手のコースが勘なんですけど当たるんです。勝ててほっとしています」と胸をなで下ろした。

東海大は昨年、関東2部から降格し神奈川県リーグが主戦場だった。佐藤は公式戦で先発したのはわずか1試合だけ。それだけに、再び関東2部で戦う来季への思いは強い。カテゴリーが上の王者を破っての8強に「ジャイアントキリングが出来て本当にうれしい」と笑みをこぼした。

母校の青森山田高は、全国高校選手権で2年連続の決勝進出を決めた。佐藤がゴールマウスを守った昨年は、静岡学園に敗れ準優勝だった。佐藤は「最後、静岡学園に負けたのは自分のミスだと持っている。この借りを返せるのは後輩だけ。勝って優勝してほしい」とエールを送った。