昨季J1最速Vを達成した川崎フロンターレが、19年度王者の横浜に2-0で快勝して、開幕戦を3季ぶりの勝利で飾った。18年MVPのMF家長昭博(34)が2得点し、象徴だった中村憲剛氏(40)の引退したチームをけん引。内容ではスコア以上の差をつけ、1週間前の試合から短期間で成長を見せた。

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フィールドプレーヤー最年長になった家長が、川崎Fらしい華麗なJ1開幕ゴールを決めた。前半21分、ゴールライン手前のDF山根からマイナスのパスを受けると、持ち前の技術でボレーシュートを打ち込んだ。前半43分にはヘディングで追加点も決めた。「練習からやっている形が出て非常によかった。2点取れたのは出来すぎ。他のプレーは至って普通」。クールな言葉の内に、熱い思いが見え隠れした。

中村憲剛氏(40)の引退で、気がつけば周りは後輩ばかりになった。ピッチ内外でチームをまとめていた中村氏の姿は、痛いほど目に焼き付いている。「心境の変化はまだそんなに感じていないけど、1年やっていく中で変わっていくことは期待している。責任感は変わらず持たないといけない。上の選手が頑張ればおのずとチームが引き締まる」と、自身の果たすべき役割を理解する。主将のDF谷口も「憲剛さんという大黒柱が引退して、どうなるか不安な部分も多少あったけど、誰かが抜けたらその穴を埋める人が出てくる。悠さん(FW小林)やアキさん(家長)が引っ張ってくれる」と、頼もしい存在の大きさを語る。

家長の2得点を勝利につなげた守備も、1週間で大きな成長を見せた。20日の富士ゼロックス・スーパー杯では、同じく2点リードで後半を迎えたが、流れの悪い時間帯を耐えきれず、2失点した。今回も後半に横浜に押し込まれたが、守備陣が高い集中を保って無失点に抑えた。谷口は「ただズルズル下がりたくなくて、状況を見ながら距離感を大事に、無理しないように心掛けた。ゼロックス杯のときより統一感のある守備、サッカーができていた」と、短期間でのチームの変化に手応えを口にした。鬼木監督も「あの時間を0で抑えて2-0で勝ちきったことは、選手をすごく評価したい。今持てる力を存分に出してくれた」と拍手をおくった。

精神的支柱が引退しても頼れるベテランがいて、課題をすぐに修正できるチーム力がある。今季も川崎FがJリーグを引っ張っていく。【杉山理紗】

○…新体制発表会でMF三笘と中村憲剛氏が営業マンにふんした“寸劇”の第2弾が大型ビジョンで披露された。ユニホームのパンツスポンサーが松尾工務店に決まったことが発表され、同募集広告のモデルを務めていた負傷中のDF登里が登場。「ちょっと休んでいる間に三笘くんが営業トップに立っちゃったけど、俺が募集したら決まっちゃったよね~」とおどけ、最後は「(先発の)三笘くん、今日は結果出してくださいね!」と激励した。第1弾では、三笘と中村氏がサプライヤー協賛するオリヒカの営業社員にふんした。