今季無敗で走る名古屋グランパスの強さの秘訣(ひけつ)はどこにあるのか-。

J1リーグ戦で現在、6勝1分け。王者・川崎フロンターレの対抗馬筆頭と目される。1試合消化の多い首位川崎Fとは、勝ち点3差の2位。5日、オンラインで取材対応したDF吉田豊(31)が、チーム力が成熟しつつある舞台裏を明かした。

本拠地豊田スタジアムで戦った3日のFC東京戦を0-0で引き分け、開幕からの連勝は6でストップした。その翌日、主将のDF丸山、副将の吉田らが集まり、即席のミーティングが行われた。互いの思いは一緒だった。

「(相手を)ゼロで抑えたよね。でも、俺たちは勝てていないよね。じゃあ、もう1回、やろうよ。負けてはいないけれど、ここは引き締めないといけないところだから」

連勝は止まっても、開幕からの不敗は守った。勝ち続けることで、知らず、知らずのうちにチーム内に流れるであろう慢心を払拭(ふっしょく)するには、いいきっかけになった。

吉田は言う。

「連勝が止まって、話し合ったんですよ。ずっと勝ち続けていると、変な自信が芽生えてしまう。もちろん勝つことが1番なんですけど、このタイミングでのエフトウ(FC東京)との引き分けは、ある意味で良かったと感じています」

首位浮上へ。7日湘南戦、11日大分戦とアウェー2連戦になる。2位で満足することなく、真剣にタイトルを目指しているからこそ、フィッカデンティ監督は気の緩みを許さない。それは吉田にも伝わっている。

「ピリピリ感は監督から出ています。選手も日々のトレーニングで感じている。結果が出ているのは、いい意味で当たり前。いかに、これを続けていくかが大事なんです。試合に出れば死に物狂いで自分の持っているものを出そうという気持ちがある。結果が出ているからこそ、今は精神的な疲れはないです」

昨季は首位川崎F、2位G大阪に続く3位で終えた。チーム力は成熟し、さらに進化している。

「昨年、ベースとなるものが完成してプラスアルファ、今年入ってきた選手が融合してレベルアップしている。ショートカウンターを仕掛けても、ただ、イケイケではなく(ボールを)取られた時のことも考えながら、リスクマネジメントをして攻めている。それができているから、無失点で抑えられている」

ここまで8試合21得点の攻撃の川崎Fに対し、名古屋は7試合9得点ながら失点はわずかに1と堅守が持ち味。アウェー2連戦後は、14日広島戦、18日鳥栖戦をはさみ、29日にホームで川崎Fとの直接対決を控える。【益子浩一】