北海道コンサドーレ札幌は仙台を2-1の逆転で下し、4試合ぶり勝利を挙げた。明大から今季加入したルーキーFW小柏剛(22)が0-1の後半10分、プロ初ゴールとなる同点弾。途中出場したアタッカーの記念すべき1発が、FWジェイ(38)の勝ち越し点を呼んだ。チームは札幌厚別での今季初戦を飾り、順位を14位に浮上させた。

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小柏が握った右拳を高くかざし、スタンドのサポーターからの拍手に応えた。抱きつくMF金子を受け止め、FWアンデルソン・ロペスが自身のゴールのように喜ぶ。特別指定選手だった昨季からリーグ戦通算9試合目。待望のプロ初ゴールだ。後半10分、MFチャナティップからパスを受けるとドリブルで駆け上がった。ペナルティーエリアに進入すると、右足でゴール左へ流し込んだ同点弾。「初ゴールはなかなか決まらない中、今日決まってほっとした気持ち」と笑顔で話した。

前半に先制を許し、逆転を狙う後半スタートから投入された。7日東京戦で左肩を脱臼して離脱。3試合ぶり復帰戦だった。東京戦含めて不在中、勝利がなかった。「チーム状況としては苦しい中、自分が出て得点やプレーで勝利に貢献できたらいいという強い気持ちで入った」。チーム全体的に積極性に欠けた前半から一転、持ち味のスピードで勢いを与えた。

日本代表を輩出する名門で4年間磨いた。大宮ユースから入学すると、「スピードの武器ですら壁にぶち当たった。大学だと当たり前だった」。毎年プロ内定者がいるチームで「技術が伴っていないと相手DFを抜けない」と感じた。成長するには十分な練習環境だった。3年時の20年2月に沖縄で札幌の練習に参加した際、ペトロビッチ監督(63)から「明日からでも使いたい」とラブコールを受け、札幌入りが決まるほどの力が身に付いていた。

開幕前に掲げていたルーキーイヤーの目標は「チーム内得点王」。その1歩を踏み出した。リーグ最多9得点のロペスが身近におり、仲間であり良きライバルだ。「ここをターニングポイントにして、もっと上を目指すためには連勝、ゴールを重ねて上に食い込めるように」。将来が楽しみな新人は頼もしい。【保坂果那】

○…ペトロビッチ監督の采配がズバリ的中した。後半から交代で投入した2選手がゴールを決めて逆転勝利した。途中から前線にジェイ、ロペス、オリヴェイラの外国人FWを並べ、MFチャナティップが珍しいボランチ、3バック右にMF駒井が入るなど、超攻撃的布陣で勝負した。「何が何でも勝利したいという思いを込めた。いろんなプレッシャーがある中、選手たちが最後まで戦ってくれた」。ロペスのクラブJ1新記録となる6試合連続得点はならなかったが、指揮官は納得の表情だった。