ヴィッセル神戸が9試合ぶりの黒星を喫した。3月13日名古屋グランパス戦で負けて以来の今季2敗目。約2カ月も味わっていなかった悔しさだ。それでも通算6勝5分け2敗の5位で上位争いをしており、過去最高7位(16年)の神戸としては上々の位置だ。

その状況に押し上げたのが、就任2年目になる三浦淳寛監督(46)。昨年9月にフィンク当時監督の電撃辞任を受け、スポーツダイレクターという強化責任者から人生初めての監督に就いた。

同11月下旬からドーハで開催されたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に臨み、初出場でベスト4入りと躍進した。その代わり、途中就任したJ1リーグ戦は、自身4勝1分け9敗で最終的に14位に終わった。6連敗で閉幕した際はSNS上では、一部サポーターから「三浦監督では無理」などと厳しい声もあった。それを今季ははね返している。

横浜Fマリノス戦前日の8日、取材対応した三浦監督は、指導する上で自身の信条を語っていた。

「自分は主将をやっていた時期があって、人の目や表情とかを常に気にしています。その中でコーチングスタッフに役割を与えて、責任を持たせることをやっている。自分1人でできるわけではなく、それぞれ得意な分野もある。仕事の割り振りはしっかりしている。その中で結果が出なければ、もう1度分析してやり直している。そして最終的に自分が責任を取るのは変わらない」

高校の名門・国見出身の三浦監督は、現役時代は消滅した横浜フリューゲルス、横浜、東京ヴェルディ、神戸でプレーし、J1通算318試合45得点、日本代表でも結果を残した。それらの経験を生かし、今は指導者として周囲との対話を重視する。

イニエスタらスター選手はもちろん、ベンチに入らない控え選手とも会話をして気配りをする。

「僕も選手だったんで、調子が悪い時は、何かのせいにしたがる。でも逃げると成長は止まる。自分と向き合わなければいけない」という思いを選手にぶつけている。今季は23歳MF中坂、21歳MF佐々木といった昨季まで戦力になれなかった選手に、対話を通してうまく奮起させているのが好成績の要因でもある。

この日の敗戦で、指揮官としての成績は通算27試合10勝6分け11敗と負けが1つ先行した。「人一倍の負けず嫌い」という三浦監督の闘志に改めて火が付いたはず。三浦神戸の戦いはまだまだ続く。【横田和幸】

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