川崎フロンターレの本拠・等々力陸上競技場が、球技専用スタジアムに改修される見通しとなった。27日、川崎市が「等々力緑地再編整備実施計画」の改訂骨子案を発表し、その一環として示された。同時に緑地内の補助競技場も改修し、陸上競技場機能は同所に一極化させるという。

等々力陸上競技場では、11年に策定された「等々力緑地再編整備実施計画」に基づき、15年にメインスタンドが改築された。同計画にはバックスタンドと両ゴール裏の整備も含まれていたが、18年時点では「Jリーグや国際的な陸上競技大会などが開催でき、収容可能人数3万5000人規模」と、トラックを撤廃しない改築方針が示されていた。

球技専用化はこれまでも検討されてきたというが、具体的に示されたのは今回が初めて。現在の陸上トラック部分にスタンドが整備される形になり、観客はよりピッチを近く感じられるようになる。川崎F関係者も「ピッチとスタンドの距離が近くなることで、より迫力あるプレーを見ていただくことができ、選手もサポーターのみなさんと一体感をもって戦うことができる。チケットが入手しづらかった面も緩和されると思う」と、市の案に賛同している。

川崎市が発表したのはあくまで「改訂骨子案」で、これについて6月1日から市民の意見を募集する。集まった意見を受けて、本年度中に再編整備実施計画を改定し、22年度から具体的な作業に入る予定。J1王者の本拠が専用スタジアムになる日も遠くなさそうだ。

○…多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ改革を推進するスポーツ庁も、等々力陸上競技場の再編計画に賛同しているという。今回公表された改定骨子案には、等々力陸上競技場周辺の公園拡大なども含まれている。同関係者は「等々力の周辺環境などのポテンシャルとそれを生かしたスタジアム刷新の計画は、にぎわいの拠点となり、スタジアムが核となって地域経済の持続的成長を体現する可能性を秘めたものであると期待している」とコメントした。