怪物FWがまた決めた。国見(長崎)の平山相太(3年)が、筑陽学園(福岡)を相手に2得点1アシストの大暴れ。6−0の記録的大勝で同校を2大会ぶり6度目の優勝に導くとともに、選手権通算17ゴールなど得点記録を次々と塗り替えた。史上初の2大会連続得点王に輝いて高校サッカーの頂点を極めた大型FWはターゲットを世界へと代え、U−23(23歳以下)日本代表の切り札としてアテネ五輪を目指す。

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国見が大舞台で圧倒的な強さを見せた。平山を軸に兵藤、渡辺が絡み、打ったシュートはなんと36本。兵藤主将は「相手はクロスに弱いと聞いていたけどイメージ通り。(市船橋に負けた)昨年の悔しさがあったのでうれしい」と優勝旗を握りしめた。圧倒的な走力を武器に、ロングキックを起点に攻める小嶺サッカーが、全国の頂点に返り咲いた。

平山への注目を、小嶺総監督は逆手に取った。試合前、兵藤と渡辺に「平山が騒がしいからリラックスできる。お前らがヒーローになれるぞ」とゲキを飛ばした。兵藤が3アシスト、渡辺は2得点を奪って圧勝を演出。選手の長所、短所を見極め、チームの指揮を高める手腕はわらに円熟味を増した。

2年後、小嶺総監督は地元にプロサッカークラブを創設する構想を持つ。国見高の校長として60歳定年を迎える06年、国見町を含めた島原半島北西部の7町による合併で「雲仙市」が誕生する。このタイミングで同総監督は雲仙市をホームとするクラブづくりを考えている。実現すれば93年の雲仙・普賢岳の噴火災害の打撃から復興を目指す「雲仙市」のシンボルとなる。「(長崎を)裏切るわけにはいかない」と、小嶺総監督は話す。残り2年間で戦後初の3連覇を達成する意欲を見せた【藤中栄二】