浦和レッズの“FW”槙野智章(34)が、奇跡を起こした。

1点ビハインドの後半ロスタイムから途中出場。前日4日に、ロドリゲス監督から「第2戦は、第1戦目と同じ布陣で行く」とベンチスタートを告げられた。だが、同時に「もしかしたら、得点が必要な時にFWで使うから」とスーパーサブでの起用の話もあった。言葉通り、DF登録ながら、槙野は最終ラインではなく、最前線へ。チャンスはすぐ訪れた。左CKからの流れで、体ごと押し込んだ。出場から2分後に、劇的の同点弾。第1、2戦ともに引き分けながら、アウェーゴールで川崎Fを上回り、ベスト4進出を決めた。

槙野は試合後のオンライン取材に対応し、FW起用の背景を明かした。「昨日、監督と話をして、試合に出ないということでしたけど、監督に冗談で『FWで準備しています』と言っていた」。それが現実となった。ゴールシーンを振り返り「日頃の練習後のシュート練習量も、Jリーグの中でも、3本の指に入るかなと。感覚と、元FWというシュートセンスが出たかなと思います」と自画自賛だった。

“槙野ワールド”は続いた。ベンチから見ていて「嫌な予感がしてた。逆転された中、2点目をユンカー選手が決めてくれて、あとは俺がやってやる」とピッチに立った。普段から浦和の練習後に、自主練習でシュートの感覚を研ぎ澄ませている。「普段から後輩たちを引き留めて、時間を割いていた中、ようやく先ほど、スタッフからもお褒めの言葉をいただいた」と練習の成果が出た。

ロドリゲス監督も「こういったゲームだけでは、実力だけではなく運も必要。奇跡を起こすためのことを考えて」と、槙野のFW起用がずばり当たり、劇的な同点弾が生まれた。チームは16年以来のルヴァン杯制覇へ、突き進む。