北海道コンサドーレ札幌は29日、26日に77歳で亡くなった石屋製菓の石水勲名誉会長への野々村芳和社長(49)の追悼コメントを発表した。石水氏は96年のクラブ創設に尽力し、現在はクラブを運営会社コンサドーレの最高顧問を務めていた。

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【悼む】

温かい“おやじさん”という印象の方だった。ゴンこと元日本代表FW中山雅史氏が加入した10年グアムキャンプのこと。グアムといっても、合宿場所は海沿いのリゾートから車で約40分以上、森の中に入ったゴルフ場に隣接したグラウンド。報道陣も、ほとんどがそのゴルフ場の敷地にあるホテルに滞在し約3週間、取材にあたっていた。

中山氏のトレーニングは長かった。朝から日没近くまで練習取材し、記事を出し終えるとホテルのレストランは既に営業終了。海沿いの繁華街に向かうバスも終わり、いつも日本から持ってきた即席ラーメン、敷地内にある売店の菓子パンを食べて過ごしていた。キャンプを訪れた石水さんは、私の食生活を聞くと「街に行こう。たまにうまいもん食って元気出さないと、記事読んでる人も元気出ないだろ」と誘ってくれた。

夜、奥様が運転する車に乗り、海が見えるアジア料理店に連れて行ってもらった。私は単品でグリーンカレーを頼んだが、石水さんは「足りないだろ」と、他にも肉や魚などたくさん頼み、食べきれないほどの料理をごちそうになり、再び森の中のホテルに帰った。

すすきのの老舗バーに連れて行ってもらい、名物マスターの切り絵や、ユニークなマジックを見せてもらったことも、すてきな思い出だ。誰にも壁をつくらずに接してくれる懐の深さ。いつまでも忘れません。ありがとうございました。【09~16年コンサドーレ札幌担当・永野高輔】