J2首位を走るジュビロ磐田のJ1復帰が決まった。

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「一体感」。チームスポーツで目標を達成するためには必要不可欠な要素だが、今季の磐田は確かにまとまっていた。そのまとまりを生んだのは、選手間の密なコミュニケーションだろう。練習場だけでなく、試合前後のロッカー室や移動中のバスで。負けた試合に限らず、勝った試合でも課題を挙げ、時には衝突も覚悟の上で意見を求め合った。

横浜時代にJ1優勝経験があるFW大津は「(マリノスと)似たような雰囲気がある」と言ったことがある。コロナ禍のため、ピッチ外で選手同士が集まれる機会は、全くない。だからこそ、練習や試合で話し合う。鈴木政一監督も「その部分が1番変わった」と成長ぶりに目を細めた。

協調性を大事にする姿勢は、外国籍選手にも影響を与えた。FWルキアンは試合前の円陣で「声出し」をするという。しかも日本語で「優勝しよう」と。個人記録より勝利を優先するエースの力強い言葉が、チームの士気を上げていた。

昇格を願う気持ちは選手だけではなかった。コロナ禍で経営状況が悪化する中、今年6月にはクラブと磐田市がタッグを組み「ふるさと納税型クラウドファンディング」を実施。約2カ月間で総額7300万円の支援金が集まり、クラブ運営費などに充てられた。J1に戻ってほしいという地元の熱い思いが結実した。

現場が結果を出し、サポーターや行政がクラブを支えた。文字通り、磐田が「一枚岩」になってJ1復帰を成し遂げた。【神谷亮磨】