仙台に再び「希望の光」を-。あの東日本大震災から11日で11年を迎える。今季J2ベガルタ仙台に完全移籍で復帰したMF梁勇基(40)は、04年から19年まで仙台一筋16年。震災当時もプレーしていた。J1昇格を決めた09年は主将としてチームを先導。今季は背番号「10」をつけ、キャプテンマークを巻く。あの日から11年。帰ってきたレジェンドが、再びクラブをJ1の舞台に押し上げる。

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東日本大震災から11年。今もなお、あの日の記憶は鮮明に残っている。梁が当時を回想した。「試合前日だったと思います。揺れであったり、恐怖を忘れることはできない。仙台だけでなく、日本全国で地震は起こっている。ニュース速報を見るたびに、あの日のことを思い出す」と語った。宮城を拠点とするベガルタ仙台。被災地への思いも胸に刻み続け、選手はピッチに立っている。

あの歓喜を再び-。震災翌年の12年はクラブ史上最高成績となるJ1で2位と躍進。被災地の「希望の光」となった。昨季は震災から節目の10年を迎え、多くのサポーターが期待を寄せたが、13年ぶりにJ2に降格。12シーズンの間、守り続けたJ1の舞台から降りた。昨季は鳥栖でプレーしていた梁は「16年お世話になったクラブなのでね。結果とうとうは、チェックしていました」と明かした。今季は主将として再起を期すクラブのJ1昇格の一翼を担っていく。「(仙台が)J2の時代でもキャプテンマークを巻いていた。前回やっていた時と比べることはない。気負わずに自然体で臨む」と静かに闘志を燃やしている。

勝利至上主義を掲げる。「どれだけサッカーをしても評価されない。良い内容で勝つ試合もあれば、悪くても勝たないといけない。勝ちにこだわる。そこだけを見てやっていきたい」。昨季は、J1で5勝20敗13分けと大きく負け越し。貪欲に勝ち点「3」をつかみにいく。梁は言う。「選手1人1人が強い覚悟を持って戦っていく必要がある。勝ち抜いていくためには技術の向上、選手同士でもっともっと要求していって、そういう雰囲気が当たり前になってこないといけない」と、J1復帰への絶対条件として「チームの底上げ」を挙げた。

今季はここまで3試合を戦い、負けなしの1勝2分け。だが、ホームでの今季初勝利はつかめていない。「一番はチームが勝って、もう1度ベガルタ仙台が盛り上がることを望んでいます」と言葉に力を込めた。【佐藤究】