浦和のGK西川周作(36)が歴代1位の称号を手にした。アウェー神戸戦にフル出場し無失点。通算169完封とし、曽ケ端準(鹿島)が持つJ1記録に並んだ。チームは今季初のアウェー戦勝利を手にし、初の連勝。守護神は自身の記録よりも仲間との勝利を喜んだ。

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西川が顔をくしゃくしゃにした。ゴールを守り抜いた後半45分。MFモーベルグが決勝点を決めた。「記録も1つ大事なことですけど、チームが勝つことが僕にとって全て」。歴代1位に並んだ169試合という数字。チームのために戦ってきた18年を表している。

愛される「笑顔」はずっと変わらない。大分ユース時代に指導した吉川圭介さん(48=現大分GKコーチ)は、屈託のない行動を明かす。「今でも対戦すると、1回は目が合うんです」。昨年のある試合の終盤。浦和のセットプレーの場面で、吉川さんは何げなく西川のほうを見た。ぱっと目が合うと、満面の笑みで手を振っていた。

明るいピッチの裏では練習の虫だった。ユース時代は全体練習が終われば、寮の隣にあった体育館で毎日ボールを蹴った。「壁が壊れるから、絶対壁には蹴るなよって言ってたんです」。何度謝りに行ったか、数え切れない。高校3年時からトップチームに帯同しても、変わらなかった日課がプロの原点だ。

シュートを止めまくり、自らFKでゴールを決めて“1人で勝った”試合もあった。強豪・国見高との練習試合では、相手に削られて片足を引きずりながらも立ち続けた。大量失点で敗れると、涙を流した。

チーム、サポーターへの思いと責任感は今も変わらない。「まだ記録に並んだだけ。記憶に残るゴールキーパーになりたいです」。記録より記憶に残る選手を目指して。まだまだゴールを守り続ける。【磯綾乃】

▼記録メモ 浦和GK西川が26日の神戸戦で無失点。フル出場して無失点だったGK完封数はJ1通算169試合目で、鹿島GK曽ケ端準(現鹿島GKコーチ)の持つ最多記録に並んだ。初出場は大分時代の05年7月2日横浜戦(0-2)で、今回が通算540試合目。初完封は出場2試合目の同年7月6日柏戦(0-0)で記録している。

◆西川周作(にしかわ・しゅうさく)1986年(昭61)6月18日生まれ、大分県出身。大分の下部組織で育ち、05年にトップ昇格。05年ワールドユース(現U-20W杯)、08年北京五輪など各世代の日本代表を経験。10年に広島へ移籍し、14年に浦和加入。Jリーグ・ベストイレブン5度。国際Aマッチ通算31試合。183センチ、81キロ。