Jリーグは28日に理事会を開き、「八百長未遂」があった日本フットボールリーグ(JFL)鈴鹿ポイントゲッターズのJリーグ準加盟に相当する「百年構想クラブ」資格を剥奪した。

一昨年にクラブ幹部による意図的な敗退行為の指示があり、ことし2月に解除条件付きで資格停止処分を受けていた。鈴鹿は理事会前日の27日に経営陣の刷新を発表したが、理事会はガバナンス(組織統治)改善などが不十分と判断した。これで元日本代表の三浦知良が所属する鈴鹿の来季Jリーグ入りは消滅した。

   ◇   ◇   ◇

クラブ幹部が起こした前代未聞の不祥事によって、来季J3の舞台でカズがプレーする道は絶たれた。Jリーグはこの日、一時停止していた鈴鹿の準加盟資格を失格とした。Jリーグの野々村芳和チェアマンは選手を思いやりながらも、厳格な姿勢を示した。

「八百長を企てたということは、Jリーグとしてはありえないということ。選手の夢、家族を考えると非常に胸が痛いが、それを守るのがクラブだということは、しっかりとリーグとしても考えていかないといけない」

騒動の発端は21年12月。鈴鹿の元役員がツイッター上で、クラブが負け試合の指示をしたと投稿。クラブ側は不正行為を否定する一方で、元役員から金銭要求されていたことを明かした。これを受けたJリーグは、鈴鹿の準加盟資格を解除条件付きで停止することを決めた。

その後、日本サッカー協会(JFA)の調査により、意図的な敗退行為の指示があったことが判明。鈴鹿は罰金を科され、2年間の活動禁止処分を受けた元役員はその後、恐喝未遂の疑いで逮捕されている。

前代未聞の事態と処分を受けて、鈴鹿は立て直しを図ってきた。27日には、代表取締役社長ら4人の役員が辞任し、新たに代表権のある取締役にゼネラルマネジャーを兼任するカズの兄、三浦泰年監督が就任するなど経営陣を刷新。オーナーが保有する株式(98・5%)も全て譲渡すると発表していた。

野々村チェアマンも「現場からクラブを生まれ変わらせようとする動きは、この数カ月で尽力してくれたと思っている」と評価。しかし、時間が足りなかった。新株主の調整はしていたが、譲渡合意までには至らず。新体制も始まったばかりで、適正に運用されるか今後見ていく必要があった。今回の資格剥奪はさまざまな要件を満たしているか、総合的に判断された。

ただ、Jリーグへの道が完全に絶たれたわけではない。今年11月末の入会審査で再申請することは可能。ここで新体制が認められれば、資格を取得することができる。JFLでの成績を満たせば、J3入りは最短で24年シーズンとなる。

「今回のような案件を機に、Jリーグのスタンスを明確にすることは改善につながるのではないか」。野々村チェアマンはそう話した。Jリーグの未来につながる教訓にしなければならない。【磯綾乃】