神戸の元日本代表FW武藤嘉紀(29)が、移籍後初の2発で低迷するチームを救った。後半34分、同ロスタイムといずれも頭で決め、アウェーで鳥栖に2-0で勝利。チームは2連敗した前節浦和戦後に、ロティーナ監督を電撃解任。神戸では3度目の登板となったOBの吉田孝行新監督(45)の初陣を飾った。3戦ぶりの今季3勝目。最下位は変わらずも、浮上のきっかけはつかんだ。

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勝利に飢えていた。同点のまま迎えた終盤。武藤はファーサイドでDF2人に囲まれた。右のDF山川からクロスが上がる。一瞬の駆け引きでわずかにスペースを見いだすと、反対側のネットへ押し込んだ。アウェーの鳥栖は蒸し暑さが残り、体力が消耗する。歯を食いしばり、最後まで走った。同ロスタイム。途中出場のFW大迫がおとりになり、MF佐々木のクロスを再び武藤が頭で決めた。

昨夏にエイバルから加入後初の1試合2発。新監督の初陣でチームを救った。

「僕が頭で2点は珍しい。何かあるんじゃないですかね。監督からは『この試合に全てをかけてくれ』と言われていました。(2点とも)大迫選手が(ニアに)入ってきて、DFがつられてくれた」

6月29日にロティーナ監督の契約を解除。神戸では3度目の指揮を執ることになった吉田新監督は「武藤の素晴らしいゴール。あれはみんなで取った得点です。ただ勝っても順位は上がらない。喜ぶのは今日だけ」。ピッチで仲間を抱きしめたイニエスタも「監督が代わればアイデアも変わる。今後も勝ちを積み重ね、違いを生み出さないといけない」と気を引き締めた。

まだ今季3勝、まだ最下位。ただ真夏の敵地で“走る鳥栖”に、今季ホーム初黒星をつけたのは自信になる。神戸はここからはい上がる。【益子浩一】

▽GK飯倉(11戦ぶり先発で無失点で勝利に貢献) 仕事ができて良かったです。形はまだまだ良くなるところがたくさんある。

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