浦和レッズが、17年以来5年ぶりのアジア制覇へ王手をかけた。全北現代とのPK戦にもつれこむ熱戦を制し、準優勝した19年以来の決勝進出を決めた。延長後半終了間際の土壇場に、FWキャスパー・ユンカー(28)が同点ゴール。赤いサポーターの大声援に劇的な勝利で応えた。ACL決勝は来年2月19日と26日に、ホーム&アウェー方式で西地区を勝ち上がったチームと対戦する。

声をからして応援し続けてくれたサポーターを前に、負けるわけにはいかなかった。前日会見でMF関根が「1人でも多くのサポーターに足運んでほしいですし、1人の力が本当に選手の後押しになる」と話した通り、大きな力をくれた。

最後に勝利へ導いたのは、やはり頼れる主将。GK西川だった。2時間で決着はつかず、もつれこんだPK戦。相手の1人目のシュートを完全に読み切り、がっちりとキャッチした。浦和DFショルツが決め、相手の2人目。今度は伸ばした右足でせき止めた。4人目のMF江坂がきっちり決めると、大声援が響き渡った。西川はゴール裏のサポーターに向かい、何度もこぶしを振り上げた。「仲間が120分戦って、あきらめない姿勢を見せてくれた。ここに来てくれた人たちと喜びを分かち合えて良かった」と笑顔を見せた。

前半11分にMF松尾のゴールで先制するも、後半10分に相手にPKを献上し、同点に追い付かれた。互いに1歩も引かないまま、試合は延長戦に突入。浦和が再三の絶好機をつくっていたが、延長後半10分に一瞬の隙を突かれてゴールを奪われた。絶体絶命のピンチ。サポーターの声援が一際おおきくこだました。

延長後半15分だった。MF明本のこぼれ球にFWユンカーが右足で押し込んだ。その前のチャンスでゴールポストにきらわれたが、最後まで諦めない姿が、チームを救うゴールにつながった。ロドリゲス監督は「難しい試合、どちらが勝ってもおかしくなかった。最後まで勇敢に誇りを持って戦えた」とPK戦まで戦い抜いた選手たちをねぎらった。

この日の浦和のゴール裏には、優勝トロフィーを模したコレオグラフィー(人文字)が作られた。座席にも赤いシートが貼られ、スタジアム全体が真っ赤に染まった。諦めず送ってくれた大声援に、劇的すぎる勝利を贈った。【磯綾乃】

▽浦和FWユンカー (延長後半終了間際の勝ち越しゴールは)前のところで(酒井)ヒロキがしっかり戦ってくれたことでゴールにつながった。