4年ぶり2度目の出場となった浜松開誠館はあと1歩で全国初勝利を逃した。前回大会準優勝の大津(熊本)にPK戦の末、3-4で惜敗。前半40分にFW坂上輝(あきら、3年)が先制点。同校の全国大会初ゴールでリードしたが、後半ロスタイムに失点した。PK戦ではキッカー2人が失敗。優勝候補を追い詰めたが、目指していた1勝はつかめなかった。

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受け入れがたい現実が最後に待っていた。浜松開誠館は1点のリードで後半ロスタイムに突入。追加時間は5分だった。だが、耐えしのぐ体力が足りなかった。自陣でのクリアを拾われ、ゴール前に上げられたクロスの流れで失点。試合終了まで2分を切っていた。PK戦では先制点を挙げた坂上が外し、終戦。誰も責められない結末に選手らはうなだれるしかなかった。

坂上は「失点した場面のクリアも僕。PKも外して、責任を感じている」と肩を落とした。PK戦で勝敗は決したが、スタンドからは同校の戦いをたたえる拍手が起こった。格上相手に堂々と渡り合い、優勝候補を追い詰めた。チームは前線から連動したハイプレスをかけ、ロングボールを多用する相手の攻撃を封印。青嶋文明監督(54)も「プラン通り。選手はよくやってくれた」とねぎらった。

県総体での敗戦後は主将の電撃交代などもあり、チームは分裂しかけた。それでも、目標だけはブレなかった。「全国1勝」。夏の悔しさをバネに県選手権で4年ぶりの優勝。プリンスリーグ東海も初優勝し、新たな歴史を刻んだ。MF前田康尋主将(3年)も「自分たちが成長していく実感はあった。悔しいけれど、最高のチームになったと思う」と顔を上げた。

初出場した18年度大会は初戦で完封負け。2度目の今回は1点を奪った。MF松本大樹(3年)も「1、2年生はこの悔しさを胸に刻んで頑張ってほしい」。「三度目の正直」となる来年度以降はさらに成長して戻ってくる。【神谷亮磨】

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