エースがチームを全国へと導いた。尚志FW網代陽勇(ひゆう、3年)が、高校では自身初のハットトリックを達成するなど、聖光学院に4-1と快勝。13大会連続15回目の全国高校総体出場を決めた。3位決定戦は帝京安積が、学法石川とのPK戦を4-1で制して勝利。GK菅野夏津(3年)が、2、3人目のPKを連続でストップし、最後の東北大会切符を手にした。

課題を一夜で克服した。県大会初戦となった3日の準決勝では、学法石川に延長戦の末、2-0で勝利。網代は延長前半7分にヘディングで決勝点を挙げたが、それまではポジショニングが悪くてクロスに対応できず、決定機を逃し続けていた。「(準決勝は)自分のせいで苦しい試合にしてしまった。自分のところで決めきっていればもっと簡単に勝てたゲーム」。この日は反省を生かしてポジショニングを意識。その成果は前半終了間際に表れた。

前半35分、左サイドからのMF安斎悠人(3年)のクロスに反応。「安斎があそこに抜け出したらクロスが上がってくる」。信じてニアに走り、ドンピシャのヘディングで先制。勢いづいた網代は、後半6分には相手DFの裏に抜け、MF藤川壮史(3年)のクロスを受け、「良いボールが飛んできたので、自分の位置とゴールの位置を確認し、右足を大きく振り抜いた」と、冷静に2点目をマーク。同11分には、MF藤川のミドルシュートに反応。「(藤川)壮史が『打つ』というのが分かった。自分のところにうまく飛んできたので、コースを変えられたらキーパーも焦るだろうと思った」と、左足で軌道を変えて3点目。FWとしての嗅覚と抜群の位置取りで、15分にも満たない間にハットトリックを達成した。網代は「3点取れてすごくホッとしています」と胸をなで下ろした。

2戦で4得点と躍動も、網代は「もっともっとやらないと」と慢心はない。全国出場は通過点。ストライカーとしての誇りを胸に、過去の先輩たちが成し遂げていない全国の頂点へ、1戦1戦駆け上がる。【濱本神威】

○…帝京安積・菅野が守護神ぶりを見せつけた。PK3本すべて、方向、タイミングともに完ぺきに反応。惜しくも1本目は決まったが、2、3本目はゴールネットを揺らさせなかった。チームが4本目を決め、勝利が決まると、チームメートの元に駆け寄り、跳び上がってガッツポーズ。「みんな笑っていた。自分がチームを勝たせられて、本当にうれしいです」と勝利をかみしめた。東北大会に向けては「チームとしてもっと上で戦って行きたいので、1試合1試合成長していきたい」。東北大会でもゴールを守り切る。