初出場校同士の開幕戦は、広島国際学院が早実(東京B)を2-0で下した。スローインを起点とした攻撃で前半28分にFW野見明輝(3年)が、後半12分にMF長谷川蒼矢(3年)がともに頭で押し込んだ。創部70年目の節目に広島県大会で下克上を巻き起こし、その勢いのまま聖地・国立でも新たな歴史を刻んだ。

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人気の早稲田に対して「完全アウェー」。そう例えた国立で広島国際学院が開幕戦を飾った。浮足だったのは最初だけ。開始5分で決定的なピンチを2度も招いた。だが時間とともに「聖地」を自分たちの輝く舞台へと変えてみせた。

得点は2つともスローインが起点。1点目はロングスローと見せかけ、近くの選手にボールを一度預けた。ゴール前の人だかりをばらつかせて184センチの長谷川を狙ってクロスボール。その折り返しから野見が決めた。そして2点目は、シンプルなロングスローから長谷川が頭で流し込んだ。

「頭」こそチームの武器だ。試合中に選手たちで修正できるのが強み。野見は「攻撃パターンを相手によって変えられる」。ありがちな上意下達でなく対話とトライ&エラーを重ねた。この頭脳的手法で群雄割拠の広島で頂点に上り詰めた。谷崎元樹監督は「学校の学力が上がることでサッカーへの向き合い方も変わった。何事にもなげやりにならない」と胸を張る。

1989年(平元)に部員8人から始め、34年かけて環境を整えた瀬越徹総監督は感慨深げだった。「この国立、この雰囲気の中でやっている姿を見てウルウルくるものがあった」。注目度満点の開幕戦で「広島国際学院」が下克上の旗を揚げた。【佐藤隆志】

◆広島国際学院 1927年(昭2)に鶴虎太郎(つるとらたろう)が広島市国泰寺町に広島高等予備校を創立。46年(昭21)に現在地の安芸郡海田町に移転した。学制改革により48年(昭23)広島電気高等学校に移行開設。67年(昭42)広島電機大学開学に伴い、広島電機大学付属高等学校に改称。99年(平11)に広島国際学院高等学校に校名を変更した。2018年(平30)に新校舎が完成し、翌19年には中学校を開校した。サッカー部は1954年(昭29)創部し、今夏のインターハイに出場が初めての全国大会(1回戦敗退)。主なOBは、歌手の矢沢永吉、お笑い芸人のクロちゃん(安田大サーカス)、プロレスラーの獣神サンダー・ライガーら。

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