昨季天皇杯覇者の川崎フロンターレがJ1王者のヴィッセル神戸を1-0で下し、今季初タイトルを獲得した。

21年以来3年ぶり3度目の「1冠」。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメントとの連戦の兼ね合いで、4日前の山東(中国)戦から先発11人全員を入れ替えるターンオーバー制を導入した。それでも主力をそろえてきた相手に対して堂々と戦い、新加入DFファンウェルメスケルケン際(29)の得点で勝利を飾った。選手層の厚さをアピールする国内初戦となった。

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大胆な川崎Fが、しぶとく勝利をものにした。鬼木監督は宣言通り、敵地で4日前に行われたACL山東戦から先発全員を入れ替えて、シーズン到来を告げる国内初戦に臨んだ。主将の脇坂やベテラン家長ら主軸をベンチからも外し、新戦力を5人もピッチに送り込んだ。一方の神戸は大迫、山口に酒井、前川ら昨季の主力を多く並べてきたが、ファンウェルメスケルケンの決勝点で勝ち切った。指揮官は「見ていて頼もしい選手が増えたなと。非常に評価できる勝利ではないか」と満足げに振り返った。

価値ある1勝だった。この後も中2日で山東との第2戦、中3日でJ1開幕戦と過密日程が続く中、海外遠征も含んだ2戦を2チーム編成で、ともに勝利を収めた。「多くの選手を公式戦という真剣な場で見たかった。どれくらいできるのか評価の部分も考えながら」。ルーキー山内がチャンスをつかみ、ゼヒカルド、Pベロンら新外国人が持ち味を発揮。ファンウェルメスケルケンが勝利をもたらした。収穫ばかりだった。

誰よりも負けず嫌いな監督は、どのような逆境でも白星に最も近いメンバーを起用してきた。「基準を落とさず戦っていきたい。過密日程だから必ずターンオーバー、ではなく、あくまでも戦える、走れる、勝ちに持っていけるかを前提に選びたい」。ACLの勝ち上がりに応じて3月以降も続く強行日程を逆手に取って、底上げを図っていく。

昨季終盤から公式戦14戦不敗。MF橘田は「勝ちきる力はタイトルを取るために必要。1-0はチームとして良かった」とうなずいた。リーグ戦8位、天皇杯は奪還と波あったシーズンのオフに山根、登里、レアンドロ・ダミアン、シミッチら長年チームを支えた主力が大量流出したが、不安は年間を通して払拭していく。悲願のACL制覇へ不可欠な層の厚さを、昨季王者相手に示した。歴代3位5万2142人の前で、今季も「フロンターレ強し」と印象づけた。【佐藤成】

▽Jリーグ野々村芳和チェアマン (開幕を見据え)この両チームが今季も上位を争っていくのだろうなと想像が湧くゲームでした。