日本代表FW浅野拓磨(29=ボーフム)が、早ければ26年ワールドカップ(W杯)北中米大会後にも、古巣サンフレッチェ広島へ復帰する可能性があることが1日、関係者への取材で分かった。既に両者で面談を行い、今後も継続的に復帰時期を探るという。

浅野と広島の面談は、アジア杯開幕前の1月にオンラインで行われ、広島からは浅野を四日市中央工(三重)からスカウトした強化部長の足立修氏(51=現Jリーグ・フットボールダイレクター)ら複数の幹部が出席した。

ドイツ1部ボーフムと浅野の3年契約は今年6月末で満了となり、フリーの選手となる。このタイミングでの復帰要請を以前から検討してきた広島は、面談で本人が欧州で引き続きプレーする意向を示したため、今回のオファーを見送ることを決めた。

一方でクラブ側は、浅野に近い将来、古巣復帰の意思やその可能性があることを確認。関係者は「今後も継続審議という形で、話し合いは続くことになった。日本に帰るなら広島。あのスピードで走れる年齢で戻ってきてほしい。クラブの思いは伝わったはず」と話している。

今夏に浅野が新たに結ぶクラブとの契約年数や、移籍金などの条件に影響されるため、時期は限定できないものの、次回W杯大会後の26年夏か、27年夏を候補に、広島は正式オファーを出すとみられる。

高校卒業後の13年に広島入りした浅野は、21歳だった16年7月、アーセナルが500万ユーロ(当時約5億7000万円)という高額移籍金を支払い、初めて欧州へと旅立った。クラブ運営が楽ではなかった広島にとって、大きな資金になったという。

浅野はその際、当時から計画されていた広島の新スタジアムの建設費用に、自らの移籍金の一部を使用してもらうことを熱望。クラブはその意思を受け、今年2月に広島市の中心部にエディオンピースウイング広島(Eピース)を完成させた。広島は浅野のクラブへの貢献度や実力を含めてレジェンドとして、いずれEピースでプレーしてほしい思いを持ち続けている。

22年W杯カタール大会で日本代表に入った浅野は、爆発的なスピードを武器にドイツを撃破する決勝ゴールを挙げるなど大活躍し、現在も代表に定着。ドイツ国内での評価は高く、今夏の移籍先にはボルシアMGなど複数クラブが候補に挙がっている。

◆浅野拓磨(あさの・たくま)1994年(平6)11月10日、三重県生まれ。四日市中央工から13年広島入り。J1通算58試合12得点。16年7月にアーセナルに移籍し、シュトゥットガルト、ハノーバー、パルチザンを経て21年6月にボーフムへ。15年に日本代表初選出、16年リオデジャネイロ五輪代表、22年W杯カタール大会代表で、国際Aマッチ通算52試合9得点。愛称ジャガー。173センチ、71キロ。浅野家4男で弟雄也(27)は札幌MF。