サッカー元日本代表主将で、オーストリア1部リーグのザルツブルクDF宮本恒靖(31)が、Jリーグへ3年ぶりに電撃復帰することが決まった。完全移籍先の神戸が15日、クラブ間で合意に達したと発表。02、06年W杯で主将を務めた宮本は、「ツネ様」の愛称で06年までG大阪の看板選手として日本で活躍していた。実力に加えて絶大な人気とカリスマ性を誇り、いきなり主将就任の可能性が高い。契約は複数年で年俸1億円。16日、都内で本人が出席して入団会見が行われる。(金額は推定)

 09年を迎えた日本サッカー界に電撃移籍のニュースが飛び込んできた。日本代表とG大阪で主力を担ってきた宮本が、3年ぶりにJリーグへ復帰することが決まった。古巣G大阪ではなく、過去にまったく無縁だった神戸というサプライズ付きだ。

 神戸は昨年まで主将を務めたFW大久保が、ドイツのボルフスブルクへ移籍したばかり。日本代表DF中沢とMF香川の獲得に動いたが失敗。戦力面だけでなく、スター不在の窮地に追い込まれ、両面を補える宮本に「救世主」として白羽の矢が立った。

 07年1月、30歳を目前にG大阪から初の海外挑戦となるザルツブルクへ移籍した。だが、昨年1月に左太もも裏の腱(けん)を断裂。さらに移籍3年目の08-09年は、コ・アドリアーセン監督が攻撃的な戦術を採用した影響もあり、リーグ戦の出番は1試合もなかった。昨年末に帰国した際には「6月で契約が終わりなんで、いろいろ悩んでいる」と胸中を明かした。

 欧州の他国リーグや一時は米国プロリーグ(MLS)への移籍の可能性もあった。そんな状況下で、神戸から年明けにオファーが届いた。複数年契約の年俸1億円という最高級の評価だった。母国での活躍は日本代表復帰へも近道だ。

 10年アジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場を命題にする神戸にとっては、今年はリーグで3位以内か天皇杯優勝がノルマ。昨年10位のクラブにとって宮本の国際経験は不可欠だった。両者の思惑が完全に一致しての電撃移籍だった。

 16日に帰国し、都内で三木谷浩史会長らと入団会見を行う。主将の肩書が正式に付くかは流動的だが、実際にピッチで統率するのは宮本になる。事実上のキャプテン就任だ。

 下部組織を含めて15年間もG大阪のユニホームを着たツネ様は、今度は港町で新たなサッカー人生をスタートさせる。2月に32歳となるカリスマが、新天地で集大成を迎える。

 ◆宮本恒靖(みやもと・つねやす)1977年(昭和52年)2月7日、大阪府富田林市生まれ。大阪・生野高進学と同時にG大阪ユース入りし、95年にトップ昇格。同年6月24日柏戦でJリーグデビュー(通算295試合7得点)。各世代の代表で活躍し、00年6月のボリビア戦でA代表デビュー。02、06年W杯出場(国際Aマッチ通算71試合3得点)。家族は夫人と1男1女。176センチ、72キロ。