浦和が、今季限りで3年契約が満了する日本代表DF田中マルクス闘莉王(28)に、事実上の「戦力構想外」を通達していたことが13日、分かった。現役代表選手の実力を評価して、7月下旬に契約延長の打診をしているが、複数の関係者によると今月上旬、強化責任者の信藤チームダイレクターが代理人と会談し「自身のサッカー観を重視する場合は、移籍しても構わない」と伝えたという。

 クラブ側は7月下旬に年間1億5000万円の2年契約を提示したが、来季以降の新規契約は実働を重視して年俸と出場給を分割する形態に変更するため、実質は7500万円となる見込み。今季年俸1億2000万円(金額はいずれも推定)の闘莉王にとっては厳しい条件といえる。

 日本代表の南アフリカ遠征に帯同中の闘莉王は、11日(日本時間12日)に「浦和レッズを愛しているし、その気持ちはチームを離れても変わることはない。自分のサッカー人生も大事にしたい」と退団の決意を表明。海外挑戦という長年の夢をかなえたい思いと、世代交代を図るチームの来季構想が、6年間在籍した浦和を離れる考えにいたった背景と思われる。

 信藤TDは「闘莉王が(代表から)戻ってから話をする。まだ交渉段階」と話し、21日の磐田戦(埼玉)前後に本人の意向を直接確認する予定。闘莉王の退団決意が表面化したこの日、浦和側に具体的な問い合わせはなかったが、今後は移籍先が有力視される中東や欧州から正式オファーが届く可能性がある。