<J1:鹿島2-1川崎F>◇第13節◇17日◇カシマ

 清水が磐田と0-0で引き分けたため、川崎Fを下した鹿島は首位に立った。

 W杯で世界を驚かせた破壊力が鹿島を救った。後半33分だ。韓国代表DF李正秀(30)が試合を決めた。MF野沢の右CKを頭で合わせ、値千金の決勝弾。「前半の失点の際にミスを犯したから、取り返せてよかった。挽回(ばんかい)しようという気持ちになっていた」と笑った。

 W杯での手応えが自信になった。1次リーグでアルゼンチンに完敗したが「メッシは別格だったが、テベスなら何とかできると感じた」。この日は失点のシーン以外は高さ、強さ、カバリングと安定感は抜群。鹿島を第4節以来、約4カ月ぶりの首位に導いた。

 韓国代表の決勝トーナメント進出に貢献し、一躍スターの座に躍り出た。W杯後、韓国に戻った際はバンクーバー五輪ショートトラック金メダリスト、コメディアン、そして自分の3人の「イ・ジョンス」で対談が行われ、新聞の1面を飾った。だが、注目度が上がっても、W杯期間中に通訳を介して「決勝トーナメント進出おめでとう」などのメールを届けてくれた鹿島の仲間のために、「次は鹿島の連覇に貢献する」と気持ちを切り替えてみせた。

 数的有利に立ち、FWを3人投入した末に韓国代表センターバックの活躍で「定位置」の首位に立ったが、慢心のかけらもない。主将のMF小笠原は「勝つことより、勝ち続けることの方が大変なので、しっかり勝ち続けて最後まで勝てればいい。時間稼ぎをするより、点を取って勝ちたい」とあえて気を引き締めた。

 リーグ初得点となる先制点を奪ったMFフェリペガブリエルも「僕の得点は大事だけど、一番大事なのはチームが勝ち、4連覇を成し遂げること」。内田が移籍し、FW興梠は結膜炎、MF本山もふくらはぎの故障で欠場の中、フォア・ザ・チームを地でいく王者が4連覇へと着実な歩みを進める。【菅家大輔】